2024年12月19日

第3561夜:春はカウンター【三宮・新長田(神戸)】(後編)

 大満足で店を出る。ミント神戸降りてすぐのビアホール<ZAKOBA>で生ビール。ツマミはカミカツ、唐揚、ポテトフライ。同じ揚物でもこれほど異なるものか。風流と日常、雅と野、春と夏。どちらもたまらなく愛してしまう。

 3軒目はM好氏いきつけのラウンジ。ビルでなく路面店に驚かされる。ボックスを勧められたが1枚板のカウンターに。ゴージャスな店である。

 いくつもの花輪があった。店のレディの誕生日らしい。そのレディがガチャガチャを持ってきた。100円入れて回すとレディの顔がプリントされたバッチが出てきた。M好氏もバッチ。どうやらバッジしか入っていないようだが、微妙にデザインが違う。

 私は「同伴券」を入れるように提案した。即採用。適当なメモ用紙を雑に千切って雑な字で同伴券と書いている。それをガチャガチャボックスに入れている。

 気づけば23時を回っている。満席だった店内もいつのまにか我ら2人に。ママも私の横に座り、カウンター越しにはレディが6〜7人。

 詳細は書かないが、この夜、謎の演劇集団となった。ベテランのボーイが撮影し、私もシブい脇役演技を決める。主演はM好氏。内容は文字に起こすのもばかばかしい。

 大笑いして店を出る。さらにもう1件。東門の<風>。ママが一人で切盛りするカウンターだけの居酒屋風バー・この店のカウンターは「逆L字」。たまにこのような店もある。

 私は満腹なのでハイボールだけ。談笑していると夜中1時過ぎに。タクシーで氏を西代で下ろす。タクシーは同一方向を向いて隣席なのでカウンターと言えないこともない。

 翌夜。今度は新長田の愛してやまないタンク筋<寿し天>。4人だったがカウンターに。3種類の瓶ビールから、私は迷わずサッポロ。咽を開き、鯛の子、鯛肝、鰯きずしを満喫。

 日本酒の2合に。鯛の白子焼、社長巻(あなきゅうのシャリ抜き)、烏賊下足焼、蛍烏賊酢味噌、鯵たたき…。至福である。とり貝は蛸を切ってもらい、ツマミに。

 同行者たちは好きなタイミングで1貫づつ食べたいネタを握ってもらっている。細かい注文にも対応して下さる。カウンターの醍醐味である。当然にカウンターは満席に。

 途中で赤出汁を挟む。私はこの店では赤出汁を途中で頼む。握りに移行する前の「トトノエ」である。そして、烏賊(塩すだち)、赤身、中とろを。

 芽ねぎという握りがあったので握ってもらった。文字通りの野菜寿司だが、苦みがさっぱりして口中がリフレッシュされる。最後はいくらを2貫。最高である。

 <天一>も<寿し天>も春しか足を運ぶタイミングが何故かない。初夏から時間が無くなる。天ぷらもスナックも寿司も、カウンターが最も味、雰囲気、会話が楽しめる超特等席である。

劇団M好

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春のシアワセ

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2024年12月18日

第3560夜:春はカウンター【三宮・新長田(神戸)】(前編)

 春はあけぼの。古今から日本の風雅として親しまれているDNAワードである。厳密にこの言葉の意味は存じ上げないが、何となく暖かくほんわかのんびりなムードが感じられる。ただし、私にとって、春は「天ぷら」である。何となくだか。

 例年3月中旬からGW明けまで比較的神戸市内(自宅兼事務所)に居ることが多い。普段は引き籠りで独り呑みなどめったに機会ないが、知人との会食等で神戸呑みの機会が微増する。

 かなり分厚い曇り空だが暑くも寒くもない春はあけぼのな土曜の午後。新長田時代の盟友・M好氏にパソコンハード関連で様々お願いすることがあり、終わってから呑みに行くことに。M好氏は我が零細弱小会社のホームページとメールと名刺デザイン、バカブログを管理して下さっているアニキである。

 時間は17時前。この日、私は「春は天ぷら」気分だった。寿司と天ぷらはカウンターで味わいたい。向かった先はミント神戸の<天一>。愛してやまない専門店である。銀座が本店で、三宮店や京都店などでも満喫。店に電話を入れ、迷わずにカウンターを指定。

 生ビールで喉を潤し、複数あるコースの中で「桜」を指名。普段は貧乏な私だが、天ぷら屋では惜しまない。コースを満喫した後、コース外のネタをいくつか頼むのが我が流儀である。

 和風サラダで舌を湿らせていると、まずは海老。真打がトップバッターである。O谷選手が1番打者のようなものである。塩、カレー粉、レモン、天つゆ(大根おろし)を駆使。カレー粉、破壊力溢れる薬味だが、すべて持って行ってしまう諸刃の剣。慎重にいかねばならない。

 海老、サクプリ。淡麗上品な甘みがまさに春の曙。生の後は瓶、それからはひたすら熱燗をお替り。熱々も良いが、ぬる燗が春のあけぼの。天ぷらには白ワインでなくぬる燗である。

 春子鯛、椎茸海老詰め、アスパラ、帆立、筍、タラの芽、空豆…。嬉しいことにほぼどのネタもカットしてくれるので2ヶある。4種の薬味を様々にマトリックスで楽しめる。

 春爛漫なタネの中で白眉だったのが「蛤」。分厚く、噛みしめるほどに旨味があふれ出す。これまで吸物や酒蒸しでしか味わったことないが、度肝抜かれた。家庭ではまず再現不可能なプロの妙技である。

 コースの最後は穴子。これはカレー塩が相応しい。ボリュームもあり、シメに相応しい。しかし、これでシメない。蓮根、茄子、烏賊大葉を追加招集。思い残すことなく満喫し続ける。

 かき揚げは天丼か天茶を選択できる。本格天ぷら屋でしか味わえぬ「天茶」が粋。4種の香物を日本酒ツマミに山葵を溶き、サラサラと流し込む。

 熱いお茶でクールダウンしていると、和菓子が。濃厚な甘さ。フルーツでもアイスでもなく、和菓子である。風流である。〔次夜後編〕

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2024年12月16日

第3558夜:岡本さんちのホームパーティ【新長田(神戸)】

 岡本さん。日本屈指に多い名字のはずである。私も知人、親戚に岡本さんはおられる。その中でも、私がモノゴコロついた時から40年以上我が家族親戚一同がお世話になり続けている岡本さんが私の生まれ育った新長田におられる。その名は、岡本Mチコさん。

 私の母親や叔母と友人であり、親戚以上のお付き合いをされている。私の両親など、少なくとも実のムスコである私よりもはるかに付き合いは濃い。Mチコさんの娘さんは私より1つか2つ年上。30年以上お会いしていないが、ガキの頃は姉のように慕っていた。

 老眼の進行が加速し、あと2カ月で50歳になる春の日の逢魔が時。季節ごとに開催される呑み会に参加した。代表幹事は六間道商店街<冨士屋呉服店>のM井氏。私が20代の頃からの盟友である。氏は還暦を優に超えているが肌艶よく元気そのものだ。

 その会のレギュラーメンバーは近畿タクシーM崎会長とアメイジングM好社長。両氏も新長田時代の盟友である。そして、都度新たな仲間が加わってくる。ただし、私は2010年4月以降新長田と御縁が滅失したので、それ以降のまちづくり関係者が全く分からない。

 私以外の皆さまは「今」の話題で盛り上がるが、私だけ10〜20数年前の話題で時が止まっている。私が話す内容も古すぎる思い出話ばかり。新たなメンバーは白けるだけ。私が昔の話しかしないバカにしていたバカオヤジに自分自身が成り下がっていることを思い知らされる。

 今回の呑み会の場所が「岡本さんの自宅」と連絡が来た。意味が分からないまま、三十数年ぶりに駒ヶ林町へ。呑み屋など見当たらないが「岡本〇一」という表札が掛かっていた。

何の看板もない。そうこうしていると、フジヤ組がぞろぞろ歩いてきた。岡本という名字の表札の横のドアを開け、メンバーが吸い込まれていく。私も入った。

 目を剥いた。私の親戚の叔母といっても過言でない岡本Mチコさんが出迎えてくれた。エッ?岡本さんの家?

 岡本さんとお会いしたのは恐らく10年ぶり。いきなり「トモくん」と声を掛けられる。ゴソジ親父だが、私はいつまでもガキなのだろう。そんな岡本さんと私の関係を知らない他のメンバーはかなり引いている。

 岡本さんの家に初めて足を運んだ。看板を出しておらず営業していないが、貸切で予約すれば宴会をしてくれるそうな。冷蔵庫、ワインセラーに酒、ビール、チューハイ、ワイン、ウィスキーなどたっぷり。

 絶品料理がどんどん運ばれてくる。岡本さんの手料理を喰った記憶がほぼないので妙な気分。私は初めて訪れたが、何故か親戚の家にいる感覚。そこで私の知人友人が飲み食いしている。シュールすぎて落ち着かない。

 2時間ほどして十数年ぶりにお会いする鶏卵屋と鰻屋が参戦。9名になった。

 鰻屋のDちゃんが最年少だが、彼も40歳という。私は彼が高校の頃から知っていたので驚くばかり。ちなみに私とDちゃんだけが唯一の40代。その事実にDちゃんも引いている。ちなみにDちゃん、鰻のごとく精力絶倫である。

 まさか4時間もお世話になるとは。岡本さん、来年で80歳という。元気の極み。冬は鍋もあるそうな。皆さん再訪を誓っているが、私はご迷惑をかけてしまうという想いが先に立つ。

 少しだけ岡本さんと2人で話して<喫茶毎日>という2次会バーへ。ジントニックやハイボールを呑みながら談笑。オーナーのU野氏は私のことを覚えてくれていた。二十年ぶりに店に入ったのだが。

 時間は24時前に。最後はM好氏と大正筋の<てんてん>。ママには特に四半世紀前にお世話になった。気づけば夜中1時半。ヘロヘロになりながらタクシーを捕まえた。

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ココを会場(居酒屋)と思うだろうか。

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めくるめく絶品の数々。

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完全にプロの料理。

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憧れるホームバー。

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いつまでもお元気で。

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2次会会場のバーと思うだろうか。

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ママには四半世紀前に凄まじくお世話になりました。

posted by machi at 04:49| Comment(0) | 兵庫県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする