2025年05月27日

第3682夜:松茸と鱧の季節・延長戦【三宮(神戸)】

 松茸と鱧。秋の味覚の最強コンビである。味も、希少性も、そして値段も。

 タフなミッションを終えた神戸三宮の初秋の夜。すっかりお気に入りの店になった<亀遊>で自分へのご褒美として松茸天ぷら、松茸と鱧の土瓶蒸しなどを思う存分満喫した。その際、1か月後であればこの秋の2大スターがまだ競演可能とマスターに聞かされた。

 それから約1か月が経過した深秋の夜。市役所を退職されて新天地に羽ばたかれる長年お世話になった御仁の送別会を<亀遊>で決行。マスターに松茸と鱧の料理をお願いしていた。

 いつもはカウンターだが、この夜は1席しかないテーブル席。カセットコンロが鎮座している。私は生で喉を開き、ハイボールをチェイサー代わりに地酒をド鯨飲。銘柄はマスターにお任せ。自家製からすみが酒を無限ループさせる。

 先付三寸を楽しんだ後は鮮度無双の刺身。鰹、鯛、烏賊、そして鱧。脂の乗った刺身が食べられない私には最高の盛合せである。

 続いて、鱧の天ぷら。淡泊な身を油が抱きしめている。ポクポクとじんわりした旨味が染み込んでくる。地酒とチェイサー(ハイボール)のピッチが上がる。

 卓上のカセットコンロにたっぷりと出汁が張られた土鍋がセットされた。たっぷりの野菜が平皿に。そして、2大スターが腕を組みながら降臨。平皿に鱧の華が開いている。松茸もたっぷりと2本分はありそうだ。

 さっと火を通すだけでも、じっくり煮込んでも、どちらも旨いという。まずは鱧を泳がせる。ピクっと震え、肌が桃色に硬直し、キュっと丸みを帯びる。すかさずフーフーしつつ口へ…。清楚と官能、無垢と経験、正座と寝技。家庭では絶対に味わえない妙技に打ち震える。

 そして、看板スターの松茸…。秋が破裂した。鼻から香りが抜ける。噛みしめるほどに味の濃さが増す。土瓶蒸しは出汁を味わう風流だが、鍋は具が主役。出汁は脇役だが、旨味を吸い込んで一世一代の名演を決めてくる。

 鱧と松茸を同時に口へ…。意識が銀河系の彼方までぶっ飛んだ。芳醇な無だけが残る。出汁に松茸と鱧の旨味が憑依しはじめ、ただでさえ極上の出汁が確変していく。一緒に煮込んだ野菜もグッと旨くなる。

 〆はそうめんを投入。いわゆる、宇宙最強の「にゅうめん」が夜の三宮に舞い降りた。私は鍋の〆は圧倒的に麺。うどん、ちゃんぽん麺が定番か。しかし、にゅうめん(そうめん)は盲点だった。一部の隙もない圧巻。昔懐かしい「究極かつ至高のメニュー」である。

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先付三寸。

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旬の刺身。

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松茸と鱧の鍋。

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鱧の天麩羅。

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自家製からすみ。

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鍋のシメはにゅうめん。

(付記)

その後はスナック、バーとハシゴ。翌日二日酔いで轟沈。

posted by machi at 10:21| Comment(0) | 兵庫県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月17日

第3647夜:松茸と鱧の季節【三宮(神戸)】

 京料理。和のテイスト濃厚で上品かつ高級なイメージがある。私は京都にめったに足を運ばないので「京料理」と打ち出した料理(懐石など)を食した記憶がない。たぶん口にしたこともない。

 京料理どころか「京」に縁遠い私だが、2024年残暑厳しい午後、京(京都)の台所・錦市場でミッションがあった。天下の錦である。我がまちづくり屋人生屈指の難易度であり、緊張感だった。

 結果はともかく、ミッションを終えた。時間は17時前。安堵ゆえイッパイやりたいが、河原町や烏丸周辺の呑み屋情報が私には全く分からない。とりあえず神戸に戻ることに。

 河原町は快晴だったが、三宮に到着すると引くほどのどしゃ降り。呑みに行きたいが、帰宅するか…。いや、どうしてもソトノミしたい。

 駅前のドラッグストアで傘を買い北上する。向かった先は<亀遊>。絶品が楽しめるカウンター割烹である。ひとり故か珍しく予約せず入れた。店内は同伴風カップル2組が楽しんでいる。

 生をほぼ一気飲み。手の込んだお通し3種でシアワセに浸る。いつもなら生数杯の後は地酒。この日は2杯目からハイボールに。大将手作りの「からすみ」が旨すぎる。そして、ハイボールに凄まじく合う。無限に酒が進む痛風の大敵である。

 京の、じゃなく今日のオススメを観る。目移りする。鱧があった。鱧と言えば京都。京都以外でも割と食べる機会が増えているが、京料理の代表魚でもある(と思う)。

 鱧と蓮根を天ぷらで。単品づつ頼むと量が多いのでハーフ&ハーフ。蓮根も京野菜っぽい雰囲気が何故かある。産地ではないだろうけど。

 地酒に切り替えた。「酔鯨」の純米吟醸『秋あがり』。秋あがりという言葉を初めて知ったが、秋に相応しい。

 メニューでひときわ存在をきらめかせているのが「松茸」。今日はご褒美呑み。思い切って贅沢するか。グデングデンに泥酔して記憶のないまま場末のスナックでボトルを下ろすよりは安いだろう。「土瓶蒸し」を選択。私、土瓶蒸しが最強に好きである。年に1度も食べられないが。

 スダチを添えて降臨。フタを外す。松茸、鱧、海老。キュッと少しだけ絞り、再びフタをする。猪口に出汁を注ぎ、口に運ぶ…千年の都が広がった。鱧の終わりと松茸の走り、そして秋のすだち。1年間のわずかの期間しか味わえない奇跡の三重奏。

 大金持ちは出汁だけ楽しみ具は喰わないそうだが、ヨゴレまちづくり屋の私は出汁を楽しみつくした後の具も楽しむ。いわゆる「出がらし」だが、これほど贅沢な出がらしもない。

 何かのスィッチが入った。松茸の天ぷらも追加。1本丸々である。興奮が抑えきれない。目の前でイチから松茸を捌き、衣を付けて揚げるマスターの手さばき、永遠に見ていられる。

 秋の山の神が降臨。人生初の1本まるまる天ぷら…。口内で、秋が爆発した。

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先付三品。これだけでも酒が進む。

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愛してやまない自家製からすみ。

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鱧と蓮根の天麩羅(ハーフ&ハーフ)。

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秋あがり。

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土瓶蒸し降臨。

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眼福。

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秋の王者を一本まるごと。スダチを添えて。

posted by machi at 07:43| Comment(0) | 兵庫県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月27日

第3629夜:Just-Size【三宮(神戸)】

 ジャストサイズ。様々な用途あれど、町中華系オヤジにとっては「餃子のO将」のメニューを指す。昔はこんなメニューはなかったはずが、すっかり定着。かなりの種類のメニューを少な目かつ半額に近い値段でご提供下さる慈愛に満ちた抱擁である。

 王将に限らず、独り中華呑みのネックは1皿の量が多いこと。大人数なら楽しめるが、ひとりならせいぜい頑張って2〜3品。しかしジャストサイズなら一人で何皿も楽しめる。

 ある夏の夜。久々に三宮で独り王将呑みを決行。向かった先は地下鉄上がってすぐの下山手通店。珍しく並ばずに2人掛けテーブルへ案内された。

 ぎょうざ倶楽部キャンペーン中でもある。私はすでにゴールドゆえ7%オフの権利を有している。冬までにスタンプを50ヶ集めればグッズが頂ける。スタンプ倍押し期間でなかったが、地道な積み重ねが肝要である。

 この日はすべてジャストサイズと決めていた。しかし、超絶に忙しい王将に面倒なメニューでご迷惑をおかけしたくない。1人前も半人前も作る手間は同じだろうから。

 料理をジャストで統一の代わりに酒はビッグで。ロゼワインをフルボトルである。

 ワインが、それもグラスだけでなくボトルまでメニュー化されているとはこの日まで存じ上げなかった。あまりドリンク欄を目にしたことがなかった。しかも赤・白・ロゼの揃い踏み。

 めったに呑まない「ロゼ」。値段は税込1870円。恐らく王将の単品メニューとしては最高値。これが、私の王将に対する返礼であり、ジャストな手間を相殺する感謝の正義である。

 第一陣は「麻婆豆腐」「肉と玉子のいりつけ」「鶏の唐揚げ」。私、肉玉子いりつけが大好物。頼まずにいられない。このメニューはジャストコーナーにないが、グランドメニューにジャスト可能とあった。普段はストレートで頼むから視界にも入ってこない。

 唐揚は大きなサイズが3ヶも。サラダも添えられている。もはやジャストでもない。

 ロゼに合う。ジャストらしく皿が小さめも好感度高し。隣の若い男子2人組はいろいろ食べているが飲み物は水。オトナの魅力と財力を見せつける。

 そこそこ満腹だが、ワインがまだ残っている。ボトル注文ゆえ、残れば持ち帰れば良いのだが、呑み切って帰りたい。

 第2弾は「揚げそば」「にんにく激増し餃子(3ヶ)」。揚げそば、器は小さいが1人前でないか。ジャストのラーメンと迷ったが、酒のツマミとしたら揚げそばは無双。時間が経つと麺が伸びるのでなく、柔らかくなる。味変を楽しめる。

 少しリフレッシュしたくて「キムチ」を追加。これはジャストサイズメニューでなく「おつまみメニュー」。このキムチ、抜群に旨い。市販して欲しいほど。しかし、量が凄まじく多い。これで税込165円は安すぎないか。

 揚げそばも餃子も喰い切った。ワインも飲み切った。しかし、キムチが3分の2以上残っている。もう満腹だ。しかし、キムチが…。大でも中でもなく、小ライスを注文するか。

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たまに利用していた旭通店閉店のお知らせ。落涙。

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ロゼのフルボトル。原価率の計算容易。

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第1陣。

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第2陣。

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