あんかけ焼そば。チキン南蛮、辛麺に続く(たぶん)、宮崎延岡第3の名物料理である(らしい)。ちなみに4位はレタス巻(寿司)という。
あんかけ焼そばは珍しくない。むしろ普通のソース焼きそばを外食する方が神戸新長田以外では難しいかもしれない。あんかけ焼きそばはハズレない旨さが安定している。
麺はパリパリ麺、柔らかい麺の2種か。柔らかい麺を敢えて焦がしても旨い。これは完全に好みだが、しいて言えば私は焦がし柔麺派か。
列島を猛烈な寒波が席巻中の1月3連休の初日。定宿を10時にチェックアウトして山下新天街に隣接するディスカウントスーパーで延岡第1名物(チキン南蛮)、第4名物(サラダ巻)を自宅晩酌の肴として捕獲。自宅に第2名物(辛麺)のカップ麺と袋麺を常備している。
腕時計を確認すると10時30分。特急発車は70分後、そして、定宿と山下新天街の間に位置する<大衆食堂 ともえ>の開店時間である。
朝昼兼用で暖簾を潜る。1番乗りである。思った以上に広い店内の壁面メニューをチェック。いかにも食堂らしいラインナップに目を細める。チキン南蛮が無いあたりに意味深なこだわりも感じさせる。
うどん、丼、定食…。私が選んだのは第3名物「あんかけ焼そば」。町中華ならともかく食堂にありそうでないメニューである。
水を飲みながら賑やかな壁面に目を向ける。学生は150円引きとある。‘こどもカード’なるものもあるようで、提示するとお菓子がもらえるようだ。子供の絵画も展示されている。学生や子供を大切にする店はハズレなし。天地開闢以来、全宇宙共通の真理でもある。
漫画コーナーから『はじめの一歩』を手に取り夢中で読んでいると、第3名物降臨。野菜たっぷりで上品な雰囲気がにじみ出ている。何故か、レンゲが添えられている。
パリパリ麺系であった。最初はソリッドな食感を楽しみ、その後は寝かせる。とろみが麺を柔らかくする。皿うどんしかりだが、最も官能的な麺類である。
味は濃くないが、あっさりといくらでも食べられる常食系。レンゲの意味が分かった。とろみがシチューのようにたっぷりで、しかも旨いのである。
柔らかくなった麺を夢中で啜る。1滴1片残さず完食。レジに向かおうとしたら、半世紀以上通っていそうなオヤジがご来店。豚汁定食を頼むあたりに年季を感じさせる。
大満足で店を出る。気づかなかったが、出口の横に忘れ物注意喚起がランキング形式で発表されていた。眼鏡、携帯…。第10位が「入れ歯」。入れ歯を忘れられたら店員さんもびっくりするだろう。思わず笑ってしまった。
延岡駅改札を出てすぐ<中華料理 金龍福>の店頭には「あんかけ焼きそば」のノボリがはためいている。入らずにいられない。
素晴らしくお得で豊富な組合せの定食セットに惹かれるが「五目あんかけ焼そば」で初志貫徹。こちらは想像通りの王道。コクのある濃厚さが中毒性抜群。そして、私の好きなやわ麺。無我夢中で啜り込む。紺の作業着を着用ゆえ、ハネなど一切気にせずに。
チキン南蛮、辛麺、サラダ巻、あんかけ焼きそば。数ある延岡名物の中でもっとも常食系かつ飽きのこない王道なのかもしれない。
山下新天街商店街アーケードを抜けた先に屹立。
これぞ食堂。
コミックスも充実。
子どもや学生にやさしいお店にハズレなし。
あっさりだけど奥深し。
延岡駅前。あんかけ焼きそば暖簾が眩しい。
濃厚だけどスルリとイッキに。

