2026年09月08日

第4004夜:巨星を偲ぶ酒場巡り【田辺(和歌山)】(後篇)

 理事長の焼酎ボトルがナミナミと残っていた。ボトルに名前は書かれていないが、足が1本しかないミニーマウス(だったかな)が首掛かっている。

 理事長のボトルを頂くことにした。ジョッキに水割。レモンを浮かべる。ママにしても週3日ペースの「ほぼ同居人」の永久の不在は壮絶な喪失感だろう。

 O崎氏の終電時間が近づいてきた。店を出る。小雨で蒸し暑い。田辺が、泣いているのか。

 理事長の焼酎ボトルはまだ残っている。誰かが吞み、空になれば吞み干した誰かが新たにキープするだろう。理事長はボトルに転生して恋々に、田辺に生き続けるのだ。

 O崎氏と別れ、N本氏と明け方4時まで開いている<一吉>へ。この店は理事長晩年のローテーションに入っていないだろうが、10年以上前は会議終わりに理事長たちとこの店の座敷で良く呑んだ。その時、理事長は必ずポテトフライを注文されていた。

 私ももちろん大好物だが、旨そうに笑みを浮かべながらつまんでいる理事長に見とれた。以降、ポテトフライはバーガーの付け合わせでなく完全に酒の肴になった。私が全国津々浦々でポテトフライを注文するのは、T中理事長の影響である。

 この店のもう一つの理事長の思い出が「イサキの塩ユッケ」。塩とオリーブオイルで頂く絶品。メニューにない理事長オリジナルの裏メニューだったが、今や「白身魚の塩ユッケ」として堂々と定番入りしている。

 理事長の裏メニューに感化され、私もこの店の裏メニューを開発した。「カツカレーうどんのうどん抜き」である。年に1回、おそらく私しか注文しないため、オーダーに来るバイトさんは毎回厨房への確認作業を強いられる。そして毎回、厨房からの「できる」というメッセージを運んでくる。その表情は、どこか誇らしそうだ。

 この夜、塩ユッケの白身魚は残念ながらイサキでなくタイだった。理事長用の瓶ビールで献杯。私とN本氏はフリージングハイボールだ。

 この夜の「抜き(カツカレー汁)」も抜群。肉もたっぷり。ハイボールが無双に進む。鯛の白身ユッケを味わい、ポテトフライをツマミながら理事長の想い出話に華を咲かせる。

 ハイボール鯨飲しながらポテトフライをツマんでいると、4人掛けの空席に誰かがグイっと座り込んできた…。先ほど別れたはずのO崎氏だった。

 氏曰く、人身事故か何かで運休しているらしく、運転再開は早くても90分後という。それで、我らの元に呑みに戻られた。これは、理事長の御導きである。

「今夜は、もっと一緒に呑もうぜ」。

 4人掛け唯一の空席から、そんな声が聞こえた気がした。

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理事長のボトルを呑み繋ぐ。

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理事長が開発・白身魚の塩ユッケ。

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理事長の好物・ポテトフライ。

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うつぼの唐揚げ。

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アヅマ開発・カツカレーうどんのうどん抜き。

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理事長の子分たち。

posted by machi at 06:08| Comment(0) | 和歌山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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