超こってり。我がバイブルコミック『めしばな刑事タチバナ』初期の頃の神回で飛び出したワードである。舞台は<天下一品>。こってりスープをさらにこってりさせたラーメンで、メニュー化されていないオリジナルオーダーとして紹介されていた。
ある晩秋の日曜の夕方。東大阪からの帰路、京橋で途中下車。達成感と未達感、満足と後悔、諦観と再起といった相反する感情を抱えながらヤケ酒を煽るためである。
1軒目は京橋で必ず立ち寄る<二升五合>で瓶ビール大瓶と特製出汁巻玉子でスタート。かす汁に惹かれたが、ここではこの2品で締める。お会計は800円代という慈愛に癒される。店内有線のJ・I『クリスマスキャロルが〜流れる頃には〜♪』が年末感を煽ってくる。
2軒目はすっかり大ファンになった<いなせや>。瓶ビール大瓶と天然まぐろのぶつ切り(とろ入り)でスタート。瓶ビール大をお替りしながら2品目は国産牛のたたき。生センマイ刺に震えながら、フィニッシュはマッシュポテト付ビフカツ。果てしなき満足感である。店内有線の『ロマンスの神様』が歳末感を刺激する。
満腹なのだが、なかなか京橋まで足を運ぶ機会はない。私が関西で最も愛している串カツ屋<鳥の巣>へ。1串170円以上ゆえ決して安くないが、この店の串カツは衣が異様に旨い。コロナの余波が続いているのか、ソースどぶ付けが復活していない。
タルハイを煽りつつ生キャベツをバリバリ。蓮根、豚、紅生姜、広島(かき)など6本を満喫。赤ワインの呑み切りサイズ(300ml)を空にして、アボカド塩昆布和えでフィニッシュ。
満腹の限界を超えた。ただ、この日は神戸に戻るだけ。日曜なので電車も空いているだろう。爆睡して乗り過ごしても良い。そのつもりで駅に向かおうとするが、何故か<天下一品>に飛び込んでしまう。何故かハイボールと鶏唐揚を頼んでしまっている。
30代前半と思しき3人組の女性が入店。ビールやチューハイ、唐揚、焼飯を豪快に頼んでいる。その3人、ラーメンもそれぞれご注文。「こってり」「こっさり」、そして「こってりMAX」と声が連なった。
「こってりMAX」?気づかなかったが、‘超こってり’がメニュー化されていた。
私は昔、テンイチのこってりが得意ではなかった。つまり、足を運ぶことはなかった。しかし影響を受けやすい私は『Aメトーーク』の天下一品芸人を観て関心を持ち始め、冒頭の『めしばな刑事タチバナ』が決定打となり、テンイチ通いを始めた。「こってり」のスープ増量一択になるほど成長することができた。
老化ゆえか、たまに「こってり」でもタフさを感じる日も増えてきた。この日は3人の女性に触発され思わず「こってりMAX」を追加注文していた。
京橋1軒目。
特製と大瓶。
京橋2軒目。
大瓶とホンマグロと国産牛たたき。
マッシュポテト添えビフカツ。
センマイ刺。
京橋3軒目。
串カツとタルハイ。
赤ワインと串カツと一品料理。
京橋4軒目。
ハイボールと唐揚。
この夜の結実、こってりMAX。

