アドレナリン。イメージはある程度共有できるはずの謎物質である。その科学的解明は別にして、我が体内で最もアドレナリンが分泌されるのが、ミッション終了後の懇親会である。
ミッションの難易度が高ければ高いほど全集中モードになり、すべての雑念が消え目の前の事象だけが現出。その雑念の中の一つが「空腹」「食欲」。
人間の三大欲求の一つを滅失させるアドレナリンの分泌は終了後2〜3時間続く。ただしノドは渇くので生ビールやハイボール、チューハイは浴びるように放り込むが、全く箸が伸びない。固形物を一切口にせずお開き、も少なくない。
晩秋の3連休前夜。博多駅前は異様なほど活気が充満。筑紫口のミッション会場から連れだって駅近居酒屋ビル内の大規模居酒屋へ20名弱で。超満員らしく、2回転目のため20時撤退厳守を厳命された。
この日の昼ミッション、2025年度最強クラスのアドレナリン放出だった。乾杯の後、ビールやハイボールは気化したのかと不思議になるほどの滅失スピード。しかし、箸が伸びない。料理はどんどん運ばれてくるが、私の前だけ溜まる一方。
個室だが大きく3島に分かれている。中央の島は講師や重鎮が占拠。私のような業界最下層の末端ヨゴレは周囲を徘徊するのみ。岡山表町Y部アニキの子分と歓談した後、別の島へ。
ただ、私の最初に島の対面の年輩御仁、とんでもない大物のようである。日本史上初の女性宰相を「サナエちゃん」と呼称。議員なりたて時期から支援されてきたらしい。
ちなみに生粋の神戸人な私はどこの島でも「エッ?神戸?鹿児島の人じゃないんですか」と同席者から半笑で指摘され続けた。鹿児島の皆さま、申し訳ございません。
この夜、私の宿は博多満室ゆえ小倉馬借の定宿(Cラウンパレス)である。隣に座る交流会参加の御仁が北九州市内在住らしく、小倉のクラブに久々に顔を出したいから一緒にと誘われた。時間はまだ20時。新幹線なら15分ほど。快諾していると、吞み放題のラスト時間に。
全員起立。博多一本締めである。しかし私は初めてで、巧く締められない。
中央の島のさらに中央に、福岡県内の商店街組織を統べる小倉魚町商店街K理事長が鎮座。K理事長とは6日前、黒崎の居酒屋でご一緒した。その際、私の1.5倍速で杯を空けていた。K理事長と何度も酒席をご一緒したが、は全く酒に酔わない兆速ピッチのド酒呑みである。
今回、私のようなヨゴレはK理事長、重鎮、講師、事務型トップ等が占拠する中央島に私のようなヨゴレは近づくことは許されぬので、状況が良く分かっていなかった。
私は壁際からガヤを飛ばした。K理事長に小倉締めをリクエスト。「商売繁盛ヨイヨイヤ〜!」。商店街フォーラムのオーラスにこれほど相応しい締めは存在しない。〔次夜後篇〕
手を付けず。
手が付かず。
大盛り上がり。

