鼈(スッポン)。精力を爆増させる高級食材として名高い亀の一種(たぶん)である。20年以上前の神戸新長田時代、商店街や区役所の面々と何回かスッポン料理店に訪れた記憶がある。鍋以外の料理をあまり覚えていないが、血を赤ワインで割って吞んだ記憶は少し残っている。
日中は30度近いが夜風は涼しい秋の小倉。この日はホテルが満室ばかりで空いていても1泊数万というバブルっぷり。この日は商工会議所のご尽力で旦過市場役員と私の意見交換会。
懇親会場は愛してやまない名店中の名店<T&H>。ビルの2階の奥の奥というイチゲンほぼ到達不可能な究極の隠れ家である。8人で貸切ジャック。
瓶ビールで乾杯。数杯飲んだ後、私はワインに。呑み放題である。白ワインをお願いした。マスターからボトルごと手渡された。手酌である。豪華、豪快、豪気に目頭が熱くなる。
この夜も料理は気合満点だった。第1陣は冷菜。サーモンのカルパッチョは残念ながら私は食べられないので「極上ステーキ肉細切りとカイワレのサラダ(正式名称不明)」「〆鯖&海老&テリーヌのサラダ(正式名称不明)」から。これほどワインに合うサラダもめったにない。
第2陣は刺身系。「イサキの塩昆布カルパッチョ」はちょっとした工夫が見事過ぎる爽やかな一品。「馬刺&鯨刺」は噛みしめるほどに旨味溢れる。「中トロ炙り刺身」の絶妙の炙りが脂っぽさを緩和し濃厚な旨味だけが鮮烈に下に弾ける。
マスターが鍋を運んできた。何かの汁モノのようである。説明をお聞きして一同の歓喜が響いた。「すっぽん鍋(正式名称不明)」という。すっぽんをそのまま煮込むとビジュアルがあれで食べにくいだろうと身を解して煮込んだそうだ。
S元商工会議所小倉センター長に取り分けて頂く。たっぷりの茸である…。エッ?これ、松茸ではないか。それも、国産の。
マスターは特に松茸の説明をしていなかったと記憶している。スッポンはそれほどはっきりした味は無く淡泊かつ上品が身上の高級食材。松茸は上品であるものの香りや味は他者を凌駕する圧倒的存在感を放つ。今年の秋の初松茸。スッポンとのまさかの競演。迷わずお替りだ。
白ワインが空になったので、今度は赤ワインをボトルごと手酌で。松茸とすっぽんの余韻に浸っていると、さらにかぶせてきた。「A5級低温調理ローストビーフ(正式名称不明)」。
大皿にたっぷりと花開いている。この夜は全員40代後半から70代の野郎8人ゆえ、酒は呑むがめちゃくちゃ料理を喰らうわけでもない。たっぷりとローストビーフの旨味を味わえた。
〆は海苔巻。これが抜群にストンと胃に落ちる。この店に来られるだけで旦過市場と関わってきてよかったとしみじみする。
定宿までの道すがら。すっぽんと肉で精力を、松茸で季節を蓄えたけど、それ以上の酒精で脳がやられた。泥酔千鳥足で宿に向かった。
この皿の前にも絶品が2皿。
イサキと塩昆布のカルパッチョ。
白ワインを手酌で。
中トロ炙り刺。
鯨と馬。
赤ワインも手酌で。
スッポン&マツタケ鍋。
マツタケたっぷり。
超絶最高ローストビーフ。
〆は、手巻き。

