アーケードを出てすぐにカプセルホテルが入っているビルが視界に。このビルは覚えている。28年前にもあった。たしか、ここにも映画館がなかったか…。
あった。<福山駅前シネマモード>。地下と2階に2スクリーンあり、1階に券売機が。映画館の名前も雰囲気も覚えていない。ただ、このビルで映画を観た記憶が蘇った。時間はたっぷりある。何をやっているか…。
上映中作品のポスターが掲示されていた。かなりマニアックなラインナップ。メジャーシネコンで上映しているような作品が見当たらない。
最も上映開始時間が近い作品が「ひゃくえむ。」だった。内容が1oも分からない。走っている男性2人のイラストが描かれている。出演はM坂桃李氏とS谷将太氏。どうやらこの2人のダブル主演らしい。予備知識掛け値なし皆無だが、それも一興。
券売機でチケットを買う。すると、たまたまこの日はサービスデーだったらしく1300円だ。ツイている。それでも上映開始まで50分もある。券売機すぐ横にカフェがあり、熱い珈琲飲みながらPC猿打。Wi−Fiも完備。メール返信などしてたら上映時間が近づいてきた。
地下に降りる。「チケットを買ってご入場下さい」とある。そういえば、座席指定をしていない。チケットを確認すると「自由席」と書かれている。封切映画の自由席とは懐かしい。
28年前にタイムスリップした気分でふと気づいた。チケットは券売機で、劇場入り口にも誰もスタッフがいない。タダ見しようと思えば余裕だろう。ただ、システム導入や人件費よりも、客の「性善説」を信じた商売に何か熱いものを感じた。
余談だが、シネコンを始めとした映画館が人件費高騰を理由に鑑賞料金を値上げしまくっているが、映画館ほど人件費を削減できるはずの業態はないと日ごろ感じている。大手でない料金の安い映画館は入口その他、たとえ値上げしても様々な工夫を凝らして運営している。
1番前の席を陣取る。1番前だがスクリーンと距離があるためベストポジション。内容、まさかのアニメだった。100m走に青春や人生を掛けた男たちの20年に及ぶ大河ドラマ。主演2人の声優は松坂氏と染谷氏。どちらも本人の表情が浮かぶほどそのまんまの声。
松坂氏の実年齢は知らぬが、オトナの声質で高校生は違和感だった。ところが社会人パートになると一気に馴染む。染谷氏はキャラもビジュアルの本人がモデルではないかと思うほどハマっていた。そして、改めてプロの声優の凄さを痛感させられた。
カプセルホテルの袖看板にうっすらと記憶喚起。
ラッキーな日。
これを選択。
入り口横のカフェ。映画鑑賞特典を頂く。
いざ、28年ぶりの福山映画。
(付記)
1〜2カ月前、この映画館(シネマモード)が閉館する記事をネットニュースで観た。28年ぶりにたまたま入ったのは虫の知らせだったのかもしれない。大手シネコンでは味わえない独特の空気感がたまらない単館系。皆さま、映画はサブスクでなく映画館で観ましょうぜ。

