豆板醤。唐辛子味噌とでも訳せばよいのか。私は豆板醤ではないかもしれないが会津の唐辛子味噌を自宅に常備している。ラーメンや餃子のタレなど薬味としても優秀だが、豆板醤にしろ唐辛子味噌にしろ、私にとって欠かせないシチュエーションは「豚まん」である。
とんかつ(≒お好み焼き)ソース&唐辛子味噌(≠豆板醤)が私の豚まんの喰い方。小学生の頃からである。ガキの頃、近所の町中華で豚まんを頼むと、ソース&唐辛子味噌。むしろ、それ以外の食べ方があることを社会人になるまで知らなかった。
ある梅雨の蒸し暑い大宮駅。強めの雨が止んだ。東口降りてすぐ<M蔵家>の前に行列がない。しかも正午ちょうど。カウンターだけの店内は1席だけ空いていた。何年か前、一帯が火事で全焼したが、この店はセーフだった。火事後、初めてかもしれぬ。入るしかない。
令和元年度あたりから月1〜2回は大宮で買物したりメシを喰ったり呑んできた。仕事も用事も全くないのだが、この店はいつも行列、かつ日本屈指のラーメン激戦地(大宮)であるため他の選択肢も豊富なこと、大宮はラーメン以外の充実も半端ないこと等が久々の理由。
店頭の券売機で最もシンプルな「らーめん(並)」を押す。硬さ、濃さ、脂の量はすべて普通。その代わり無料食べ放題ライスは大盛に。
横浜家系ラーメン数あれど、我がセイシュンの<山岡家>を別格とすれば、これまで全国で啜ってきた家系の中で<M蔵家>が最もお気に入り。ライス(胡瓜漬も)食べ放題も嬉しいが、醤油強めのスープが他の家系と一線を画す。これまでもこのバカブログでも乱筆してきた。
大盛ライスが最初に着丼。すかさず並ラーメン降臨。私の左隣の若い男性はライスに胡瓜漬をぶっかけ、卓上調味料の胡麻を散らし、豆板醤をチョン乗せしていた。
見事である。私はこれまでこの店でライスのお供には食べ放題の漬物、ラーメンの海苔しか活用したことがなかった。若き常連氏は胡麻で風味を高め、豆板醤で引き締めているようだ。
家系ラーメン店の卓上調味料に豆板醤は必須だが、私はあまりラーメンに投下したことがない。味変アイテムとして強すぎる故、どんなスープも豆板醤一色なってしまうから。しかし、漬物の醤油替わりという殺法があったとは。目から鱗どころか眼球ごと落ちそうに。
真似したくなったが、あからさますぎて少し恥ずかしい。漬物(胡瓜漬)に卓上の生姜を載せてみた。醤油を垂らしたくなるが、この店に餃子がないので必然的に卓上に醤油もない。
ラーメンに胡椒、胡麻をパラリ。大蒜はミッションを控えているため断念。まずはスープから…。濃厚なのにキレがある。中毒性無双の家系の中でも、この店はさらに屈指。
ほうれんそうをスープに浸して口に運び、ライスを頬張る。麺を啜り、ライスを頬張り、スープを飲む。スープに浸った海苔をライスにオンし、クルリして口に運び、漬物をポリポリ。
左隣の若き師匠がフィニッシュ体制に。残ったライスにレンゲでスープをぶっかけワシワシしている。これは比較的オーソドックスな家系の技。
師匠が席を立った後、漬物の上に胡麻を振り、豆板醤を少し載せてみた。師匠を模倣する…。目を剥いた。お互いが味を高め合っている。豆板醤活用の解を知った。
名も知らぬ若き師匠からの学びに感謝しつつ、ライスに胡瓜漬をさらにオンし、スープをレンゲでぶっかけ、そこに生姜を少し載せてみる。未踏県(当時)ゆえ現物を知らぬが、宮崎名物「冷や汁」を意識してみた…。冷や汁ならぬ温汁的旨さ。生姜が蒸し暑い梅雨空を爽快に吹き飛ばす。
大満足で店を出る。いつのまぬか十数人が店外で並ぶいつもの光景。正午なのに並ばない奇跡のタイミングだったのだろう。ふと気づいた。隣にラーメン屋が新たにオープンしていた。
<武蔵家>は不動だが、隣は頻繁に入れ替わる。ただ、その店に目を剥いた。二郎系の雄「豚山」である。2週間前に2日連続名古屋駅前で堪能した。家系で一番愛しているのが<武蔵家(山岡家除く)>なら、二郎系で近年最も私と相性良かったのが<豚山>。
武蔵の赤看板と豚山の黄色看板。どちらも我が生活圏(神戸)にない(令和7年6月現在)。26時間後、再び大宮駅で途中下車するかもしれない。どっちに入ろうか、それとも第3の選択肢か。
熱い並び。
まずは胡瓜漬に生姜を載せてみる。
海苔巻は家系王道の殺法。
これが、正解(かも)。
最後はスープと胡瓜漬と生姜をぶっかけて。

