「よもだ」。伊予松山の方言で「しょうがないねぇ」「なんだか憎めない」という独特のニュアンスが秘められているという。かなり使い方が難しそうである。
松山から遠く離れたJR名古屋駅改札から名鉄へ向かうコンコース内に<よもだそば>がある。立ち席ではない座り席だが、入口券売機で購入するセルフ。いわゆる「駅そば」である。
名古屋駅のホームは在来線も新幹線もいくつあるのかというほど立ちきしめんがきしめいている。改札を出た構内にもきしめん屋はあるが高級感がある。つまり、安くない。そんな中、改札外の駅構内で圧倒的リーズナブル感を出しているのが<よもだそば>である。
この店の前を何度通ったか数知れない。しかし、何故か入ったことなかった。名古屋駅内外でメシを喰う際、きしめんやあんかけスパ、台湾ラーメンなどを旨し名古屋メシで溢れているから、いわゆる「立ち喰いそば」に入ろうという気分にならなかった。
日中気温が30度を超える梅雨の晴れ間の午後。JR名古屋駅改札を出て名鉄乗場へ向かう。乗り換え時間20分。名古屋は一週間ぶりである。6月から8月にかけて名古屋駅を割と頻繁に利用する。つまり、名古屋メシに対する心の余裕がある。「よもだそば」チャンス到来である。
実は以前からかなり惹かれていた。立ち蕎麦のタネはかき揚げ、海老天。いか天、月見、わかめ、きつねなどが一般的。しかしこの店、定番王道以外にかなりユニークなタネを推し出している。まさに、冒頭の「よもだ」を体現している。
せっかくなので変わりタネを攻めたい。券売機と対峙…。「味噌カツそば」を見つけた。690円。味噌カツはこれまで幾度も喰ってきたが、そばは初体験。しかも、大盛無料である。
チケットを手渡し、セルフ水を飲みつつ店内POPを眺める。朝定食も魅力的。インドカレーもそばと二枚看板の雰囲気。そして、冒頭の「よもだ」の意味と店主が伊予松山のご出身であることを記したPOPがあった。深く首肯する。
時間は14時半前だが、店内はお客がひっきりなしに回転。常に満席である。JRの駅員さんも遅い昼飯に啜っている。JR駅内外で駅員さんを見かける店にハズレなしである。
味噌カツそばを受けとる。一味をパラリ。出汁の色は濃い。店主は伊予松山だから西日本風の薄口醤油&昆布の透明な汁と思いきや、関東系の茶黒。
出汁から啜ると、関東の立ち蕎麦のごときパワフルさ。私、関東系の濃口醤油&鰹節も大好物である。駅ホームのきしめん出汁とははっきりとベクトルが違う。
味噌カツは4切。まずはソリッドなまま…。冷めているが、しっかりと味噌カツである。そのまんまである。蕎麦を手繰る。出汁を啜る。味噌カツを齧る。
驚くまでに1+1=2。特段化学反応を起こすわけでもなく、別々に旨さを主張している。ふと気づいた。店内POPで味噌カツ丼は推しているが、そばは推していない。実に、深い。
他にもたっぷり変わりダネがある。次回の訪問が楽しみになってきた。他の名古屋メシの誘惑を振り切ることができるだろうか。
大盛無料が眩しい。
限定の変わりダネも豊富。
「変種」とあります。
朝からアツいぜ。
カレー推し。
圧巻のお品書き。
味噌カツそばであります。

