黄色看板に細めのゴシック体で「ラーメン」の赤文字。それに続く黒字の店名。このデザインというかレタリングで濃厚こってりがっつり系ラーメン者ならピンと来るはず。90%以上の確率で(アヅマ感覚)で「二郎(インスパイア)系」である。
梅雨入りした肌寒い午後。名古屋駅の改札を出て太閤口近くの定宿へ向かう。チェックイン可能時間まで90分。ミッション開始は3時間後。呑み喰い開始は恐らく19時頃。食べ過ぎてもボケるし、何も腹に入れなければミッションをこなす自信がない微妙な時間帯である。
名古屋駅構内外は全店制覇済の驛麺(ラーメン)通りをはじめ旨そうな名古屋メシを筆頭に魅惑溢れる飲食店が軒を連ねている。しかし、激しめの雨ゆえあまり歩きたくない。
信号待ちしていると、冒頭のレタリング看板が視界に。屋号は<ラーメンB山>。二郎インスパイア系の確率が99%まで跳ね上がった。
店に前で一瞬たじろいだ。時間は13時30分。まだまだ昼メシ時だが行列がない。まあ、わざわざ名古屋で二郎系を啜る観光客は少ないかもしれない。
大きなカウンターだけの店内へ。券売機と対峙。後ろに並ばないのでゆったりチェック。ラーメンの量はミニ、小、大の3種。それに豚2枚、5枚、8枚を選ぶマトリックスである。二郎は小でも他店の特盛サイズ。ちなみにこの日、たまたまだが丸々2週間ぶりの外食だった。
「ミニ・豚2枚」を押した。950円。最安値チケットを店員さんに手渡し、指定された席に着座。左に紙エプロンコーナー、真後ろはセルフ冷水コーナー。ベスポジである。冷水コーナーに併設のコップが何と大き目の保冷タンブラー。これだけでテンション上がってくる。
着丼寸前、お馴染みの「呪文」を発する場面が来た。麺の量をミニにした分、野菜を「マシマシ」に。問題はニンニクである。3時間後にミッションを控えている。しかも、ミッションは私の90分漫談である。私にとって二郎系はニンニクが大きな役割を示している。
入れなければ、私にとっての二郎ではない…。私は、決断した。少なめでも、マシでもなく「マシマシ」と唱えてしまった。後先考えず目先の欲求に完敗した。
ブツ降臨。分厚い焼豚2枚とマシマシ野菜で麺どころか汁も見えない。これで「ミニ」である。ニンニクのこんもりが異様な迫力。卓上の粗びき唐辛子と胡椒を投下。胡椒、ブラックとホワイトの2種常備が芸が細かい。ラーメンたれも野菜にかけまわす。
まずは野菜攻め。普段あまり野菜をあまり食べぬので、体が喜んでいる。なぜ野菜から攻めるのか。マシマシはサービスゆえ、絶対にお残しは許されないからだ。
野菜をあらかた食べ終わる。麺と汁が見えてきた。麺を天地逆転させ、スープに浸し絡め。これも二郎技である。
後は一気呵成。麺を啜り、ニンニクのパンチ満点のスープを啜り、豚を齧る。2枚でも充分な満足感。極太麺ゆえか充分な満足感。濃すぎず、あっさりしすぎない。
30代半ばに初めて二郎を啜り衝撃を受けて15年以上。直営系、インスパイア系と様々な二郎を啜ってきたが、私に最もハマる浸透圧だった。二郎を啜り終わって、もう少し食べられるかもと感じたのは初めてである。〔次夜後編〕
このデザインにピンと来たら。
行列がない奇跡。
ミニの野菜マシマシニンニクマシマシ。

