関さんハイボール。小山駅東口の創業五十余年の居酒屋割烹<東>にて、小山の盟友・S氏が卓上に私に作って下さる超濃いめの角瓶ハイボールである。
令和元年度から本格的に栃木県と御縁が出来て丸6年が終了間近となった2月の夜。8カ月ぶりに<東>へ。私が小山を担当していたのが令和元年〜3年度まで。後半の3年間は小山を拠点に栃木、佐野、下野、上三川を移動していた。
宿泊は栃木駅前か小山駅前がほとんど。小山で泊まる場合、特に最終年度(令和6年)は呑みにでかけるタイミングが無く、まず独りソト呑みなどしなかった。近くのスーパーで総菜や酒や乾きものを買い込んで独り部屋呑み。
予定していた別の呑み会がキャンセルになり、余裕のある小山の夜が生まれた。すかさずS氏に連絡。S氏、瞬殺で快諾。同じく呑み友達のH場氏も参戦して頂けることに。
8か月ぶりの<東>。大将や女将から忘れられていると思い恐る恐る引き戸を開ける。大将と女将は私の顔を見て一瞬の間の後、破顔一笑。この店で呑むたびにお会いしている気がするH鳳大学Y城先生も私の顔を見て笑顔で「おお、久しぶり!」。安堵感と帰宅感に包まれる。
私が一番乗りだったので、とりあえず瓶ビール。この店の唯一の3人掛けテーブルは予約せねば確保できない。S氏にどの店が良いか一応尋ねられたのだが、私の選択は<東>一択。卓上にはウィスキーの角瓶が鎮座している。
女将が瓶ビールとおしぼりとお通し(蛍烏賊)を運んできた。私の耳元で一言囁いた。「ウィスキーが泣いていたわよ」。
ウィスキーの銘柄は角瓶。昭和の将棋名人の「銀が泣いている」に勝る令和の名言である。
私はこの店では最初に瓶ビールで喉を開いた後、ひたすらS氏が創って下さる超濃いめハイボールを鯨飲する。S氏はそれほどお強くなく、H場氏は最初から最後までビール党ゆえ実質私が独りで角瓶を空にしてしまう。
程なくしてお二人がご来店。久々の乾杯。鰹刺身、鯖かっぱ(鯖の刺身と胡瓜の海苔巻)、アジフライ(ポテサラ添え)、自家製漬物…。どれもシビれるほど旨い。18時から呑み始め、気づけば22時前。閉店時間を1時間もオーバーしていた。
この面子で6年間、この店で数え切れぬほど呑んだ。3週間後に6年間に及んだ私の栃木県ミッションが完遂する。この店で、この面子で呑むことは最後かもしれない。
もう1軒、お二人を誘った。駅前の餃子居酒屋へ。餃子やポテトフライを注文。ドリンクにホッピーがあった。私はホッピーをこよなく愛している。ホッピーも1年以上呑んでいないかもしれない。ホッピーも泣いていたかもしれない。
小山駅西口の至宝。
お通しから落涙。
絶対外せない鰹刺身。
この店でしか味わえぬ鯖かっぱ。
漬物も半端なき絶品。
黒ホッピーも泣いているかも。
餃子は泣いていないかな。

