さすがに満腹だが、麺類は別皿。2週間前はここで北海道味噌バターコーンを啜った。ここは札幌かと思わせる本格だった。タッチパネルでラーメンをチェック。北海道味噌は期間限定のフェア商品。この日は何と、横浜家系。しかしすでに売り切れていた。奥歯を噛みしめる。
もう一つのフェア麺が「鴨そば つくね入り」。要するに『鴨南蛮』である。老舗の蕎麦屋でつくね入り鴨南など手繰れば2000円は下らないだろう。ここでは税込で400円ちょっと。
お替りした地酒がまだ残っている。まさか回転寿司屋で鴨南をツマミに地酒をヤれるとは。合わせて1000円も掛からない。
鴨南降臨。濃い色の汁に浮かぶ油膜が艶めかしい。鴨南は西日本の薄口より関東の濃い口が相応しい。鴨をツマミに地酒。思わず目を細める。
そういえば3時間ほど前に電車内でビールを呑みながら国技館つくね缶を試したことを思い出す。どちらも変化球だが、切れ味の鋭さはO谷投手のスライダー級である。
2週間前、この店で〆のデザートに開眼した。今回は一押しっぽい「プレミアムガーナアイスとチョコの濃厚パルフェ」。パフェでなく「パルフェ」である(よく分からないが)。
プレミアムガーナショコラアイス、チョコレートソース、ガーナリップル、チョコ練りバウム、チョコフレーク、ホイップクリーム、チョコプリン。書き写すだけで疲れを感じるほど。
濃厚で冷たいチョコ祭り。税抜390円。パフェの相場が分からぬが、コンビニのアイスと比較すれば鬼安。邪気も鬼も退散する剛毅っぷりである。豆を撒くより効果ありそうだ。
新社会人の頃から40代まで回転寿司を見下していた。サラダ軍艦やデザートなど意味不明で理外極まりなかった。それが50歳になり、独りで回転寿司屋で酒を呑みながら「邪道寿司(いい意味で)」を満喫し、デザートにパフェまで喰う。
柔軟になったのか成長したのか、ボケてきたのか分からない。ただ、若い頃よりも喰っている気がする。そこは成長しなくても良い。
軍艦の華は「うに」「いくら」である。これらを頼まなかった。理由は一つ。1貫で290円(税抜)だから。私はすべて税抜100円と160円皿のみを選択。このあたりのチョイスはオヤジになっても情けないことに全く成長していない。
大満腹。お会計ボタンを押そうとした時、タッチパネルに「特製キンパ風ツナキムチ太巻」が映し出された。情報量の多い名称だが、惹かれたのが「太巻」。節分は細巻でなく太巻を齧らねば風情がない。しかも1貫。これから入るか。
高速レーンで運ばれてきた。さあ、恵方はどこか…。神戸や北九州などと異なり、海なし県の栃木市では私は全く方角が分からない。やむおえぬ。真正面を向いて一口で放り込んだ。さて、真正面はどの方角か。

