ハーフ。ごりごり生粋の日本産縄文系の私には恐らく1DNAもハーフ的要素は混じっていないだろう。飲食店でもハーフなど視界に入らず「大盛」「特盛」ワードにしか焦点が合わない。
松の内が明けた山陰屈指の大歓楽街を有する鳥取市の夜。1軒目で3時間鯨飲しながら山陰の名物に舌鼓を乱打させ、2軒目のディス・イズ・スナックな店で3時間鯨飲。24時を大きく回った頃に鳥取駅前の宿に戻る。ユニットバスに浸かるべく全裸に。
部屋に戻っても気分が高揚しているのか、眠気が来ない。自宅では20時には寝てしまうのに。2軒目のスナックで固形物を腹に入れなかったからか、小腹が空いてきた。しかも、まだ吞めそうだ。コンビニで何か買い出しするか。
ユニットバスに湯を張ることを中断し、再度着替えてフロントへ。コンビニの場所を聞くと、5分ほど歩くようだ。
金曜の深夜。多くの老若男女が歓楽街を闊歩している。さすがに居酒屋に入ろうとは思わぬが、小腹にシルモノを入れたくなった。カップ麺を買うより生産性は高いかもしれぬ。
何軒かラーメン店があったが、ひっきりなしにお客が出入りしている店があった。<ごっっおラーメン>。はて、未食だが米子で同じような店名を目にしたことがある気がする。
入ってみた。カウンターが1席空いていた。夜中2時まで開いているようだ。
決して広い店内ではないが、テーブル席は満席。私が入った後も何組も店に入ってきた。無事座れた幸運なグループと満席轟沈のグループに分派。天国と地獄の表情や肩の堕ちっぷり、トーン激落ちの声が人間の悲喜こもごもだ。
レモンサワーを注文。いきなりラーメンでなく、ツマミ系をチェック。唐揚、ポテトフライ、炙りチャーシュー、餃子、キムチ、メンマ、チャーハン、じゃこめし…。私が惹かれたのが「チャーシューキムチ」。何となく想像できる。‘ボリューム満点’とある。
サワーをやりながらぼんやり。25時前と思えぬ活気である。こちらのお店、倉吉が本店で山陰で6店舗展開中とポスターに。本店修行者が暖簾分けしている雰囲気だ。米子店もあった。普段は前日の夕飯も思い出せない空気頭だが、珍しく記憶の引き出しがスムーズに開いた。
私の指名がカウンターに付いた。大き目のさらに海苔が6枚敷かれ、それぞれに分厚いチャーシューとキムチがオンされている。質量という意味ではなく、酒のサカナとしては確かにボリューム満点である。
キムチも焼豚もサワーが進む。2ヶも食べ終わらないうちにサワーが滅失したので、サッポロ赤星瓶ビール。
〆はラーメンと決めていた。しかし、さすがに満腹感がある。シルモノは啜りたいが、麺は無くともスープだけでも良い塩梅。
牛骨スープをベースに醤油、味噌、塩などが派生。イチオシは「牛骨しょうゆ」。12時間前にも牛骨しょうゆチャーシューメン味玉付きを満喫していた、
炙りチャーシューメン(牛骨しょうゆ)に決めた。大盛がプラス150円とある。さすがに大盛は無理。その横に「ハーフ」とあった。100円引きという。これだ。
炙りチャーシューメンのハーフで夜をフィニッシュさせる。程なくしてブツ降臨。チャーシューはたっぷり。チャーシューや具をツマミにビールを呑む。具を食べ尽くし、最後は麺とスープを全力フィニッシュ。
スープ。やはりあっさりだった。昼の牛骨とかなり近い印象。呑んだ後は旨さが倍加する優しさと柔らかさ。汁1滴、麺1滴残さない熊啜だった。
店を出る。入れ替わりに数名が店内へ。まだまだ路上は賑やかだ。深夜1時の牛骨炙りチャーシューメン。50歳になっても私のスタイルも健在である。大盛や並でなくハーフなのが情けない限りだが。
深夜もお客ひっきりなしの人気店。
ラーメン屋のツマミの王道。
ハーフと思えぬ充実。

