猛者エビ。鳥取(市近郊)でしか流通しない幻のエビである。漁獲の少なさも一因だろうが、足が速い(鮮度がすぐ落ちる)ため遠方に出荷できないという。鳥取県西部の米子で数回呑んだ際も、お目にかかったことは無かった(はず)。
11月下旬に鳥取駅前の個室居酒屋で猛者エビを味わう機会があった。酒席をご一緒した地元の同行氏たちに勧められた。刺身と唐揚で堪能。身が濃厚で甘く食べ応えもあった。
それから2か月後。歓楽街の<ぐらっちぇ>と超絶人気居酒屋にて10人で懇親会。鳥取駅前ミッション3部作最終回修了の打ち上げ。鳥取市では嬉しいことに毎回懇親会を開いて下さった。毎回個室で、どの店も素晴らしい。地元経済を牽引する皆さまゆえ期待を外さない。
生ビールで乾杯。ミッションメンバーではないのだが、私が駆け出しの20代前半、神戸新長田時代にお世話になった鳥取県中小企業団体中央会のM本部長も特別参戦。M本氏とは2023年度の米子で6〜7回ご一緒した。氏は本拠の鳥取に戻られ、1年ぶりに酒を酌み交わせた。
刺身の盛り合わせには毎回圧巻。海も穏やかな瀬戸内と対比するような荒い日本海の冬の海がたっぷりと広がる。猛者えびも刺身で頂く。味噌もチューチュー。ビールが進む。レモンサワーを間に挟み、後はひたすら鳥取の地酒を冷や(常温)でヤり続けた。
私のようなヨソモノには山陰の海の幸に目を奪われるが、鳥取を知り尽くした地元人たちは口を揃えてこの店の名物は「唐揚」「出汁巻玉子」とおっしゃる。
私は年間唐揚を500ヶ以上喰っているかもしれない。旨いものもあれば、まあ普通も。不味い唐揚はそんなに出会わない。しかしこの店は特A級。神戸三宮<愛愛>に引けを取らぬ。大山鶏という地鶏らしく、そういえば出雲で独り吞みの際に大山鶏を堪能したことを思い出す。
出汁巻もあれば必ず頼んでしまう。ここは山陰ゆえ西日本。甘さのある固焼きでなく、甘さのない出汁の効いたフワトロ。私は西日本人であることを痛感させられる。
猛者エビの唐揚は私にとって最早定番。鳥取(市)でしか味わえぬ至高。ローストビーフ、凍った状態で出て来て溶け出すと旨さが倍加するカニミソチーズ、天麩羅、手の込んだポテサラ…。どれを喰っても旨し。超人気も納得。地酒のピッチが加速する。
鳥取の猛者たちは昼も夜もタフでパワフル。様々な話をさせて頂く。まだ3回しかお会いしていないとは思えぬフレンドリー感に感謝が吹き上がる。
21時頃お開き。M本部長らもう一軒。私のリクエストは、ママが独りでやっているようなカウンターだけのスナック。部長が向かったのは<ポポン>さん。最初は私どもだけだったが常連がどんどん入ってくる。
ママはおっとりした感じだがなかなかの猛者っぷり。鳥取の酔客を捌くには猛者でなければならない。気づけば3時間話し込む。ボトルを入れたのに、お会計は引くほど安い。これぞ、地方都市のスナック。
1か月前にオープンした我が定宿チェーン(T横)に向かう。金曜の深夜24時過ぎ。街なかには猛者がまだ溢れていた。私も猛者にならねばならない。ただし私は猛者エビよりも足が速そう(腐りやすい)だけど。
地元からの支持も熱い超絶人気居酒屋。
山陰の海の宝箱。
蟹味噌クリームチーズ。
鳥取市内しか流通しないという幻の「モサ(猛者)エビ」。
同世代のママが独りで切り盛り。

