アクセ。銀座や麻布台ヒルズで数店舗、中国四国地方で数店舗展開されている日本屈指の高級アパレルショップである。このようなお店に私は全く御縁ないが、アクセグループを率いるのが尾道市中心市街地の商店街連合会を統べるT垣会長である。
新年一発目の出張となった尾道に、4回目にして初めて宿泊することに。理由は一択。商連の皆さまたちと約10人で開かれる懇親会に参加するためである。
ミッション終了後、ホテルに向かおうとするとT垣会長と1階でばったり。会長のご自宅はすぐ近くで、屋上からの景色をご案内頂く。会社でなくご自宅のエレベーターで4階へ。トレンディドラマでしか見たことのない部屋からの絶景。5階の屋上は365度のパノラマ。
いったんホテルに荷物を入れ、懇親会会場の<蔵鮨>へ。私は道に迷い10分遅れで会場入り。すでに乾杯は終わっていたが、再度乾杯して頂く。ひたすらお詫びする。
瓶ビールの後は会長おすすめの地酒。私は立場上、10人席の真ん中で会長の正面。冷菜5種、瀬戸内の地魚の刺身盛合せ、鰆煮付、蟹胡瓜酢、河豚唐揚、鱈白子おろしポン酢、握り盛合せ、苺…。尾道でラーメン以外の店は初めて。絶品料理に舌鼓乱打である。
会長から様々なお話をお聞きする。就職活動、家業、兵法、マーケティング…。スゴすぎる。これほど凄い方に私はどんなミッションをこなせばよいのか。
21時半ごろお開き。創業100年を迎えた<アクセ>のT垣社長(商連会長)と創業150年とう<梶田時計店>の6代目K田氏と尾道の歓楽街をご案内頂く。T垣会長は尾道で最高級のスナックへ。お通しが正月らしく蒲鉾と黒豆。会長のキープするボウモアや山崎をロックでガバガバやりながら会長からさらにお話を伺う。
麻布台ヒルズ出店の経緯、内装費、オープン販促費、社員旅行…。私と住む世界があまりにも異なる。天井人である。会長は惜しげもなく様々な経営数値を教えて下さるが、とてもここには書けない。しかし「経験貯金」という言葉が印象に残る。
意味は何となく推測できるだろう。ただし、私のような凡夫は経験が貯金にならず単なる浪費。経験を貯金にステップアップできるか単なる無駄遣いに終わるかで人生が分岐する。
会長は学生の頃から現在まで様々な経験を貯金にステップどころかバッケンレコード級の大ジャンプ連発。私は宵越しの金は持たぬとただ浪費だけして何の蓄積にもなっていない。私のような半端が真似しようとすると、すべてを「敬遠貯金だから」と逃げを打つだけだ。
1軒目開始の18時過ぎから2軒目終了の24時半までたっぷりとお話をお伺いした中で、もっとも度肝抜かれた逸話があった。アメリカ同時多発テロの日、ワールドトレードセンターから1.2qの場所に出張していたという。
1.2qは、尾道駅から2軒目の高級スナックまでとほぼ同距離。その距離感だけが妙に生々しくリアルだった。

