尾道家系。尾道ラーメン+横浜家系ラーメンを掛け合わせた激烈ハイブリッドな混合種である。生物の進化を感じさせる。
2025年初出張地・尾道は温暖な瀬戸内と思えぬ小雪舞う激寒。尾道駅着後、ミッション会場へ向かう。開始は50分後。道中で当然のごとく尾道ラーメンを啜る所存だった。
アーケード商店街に入ってすぐ、海岸通りへ向ける狭い路地にノボリがはためいているのが視界に履いた。アーケード商店街も海岸通りも尾道ラーメン店でびっしり。軽く20軒があるだろう。路地に入り込むと、カウンターで7席ほどのラーメン店があった。思いっきり家系の店。しかし、尾道ラーメンもあれば家系も、そして冒頭のハイブリッドもあるとの店頭表示。
飛び込む。旅行客と思しきカップルが旨そうに啜っている。券売機と対峙。マスターに尾道家系のボタンを聞くと、どれも同じと教えてくれた。「チャーシュウ(並)」に「にくめし」。新年一発目の遠出、気合の注入が必要である。
ライスの器を渡された。セルフサービスらしいが、「にくめし」でないのか。分からぬままライスをセルフで茶碗に入れて待つ。
ブツ降臨。強烈に旨そうな家系ビジュアルである。チャーシューびっしりで麺が見えぬほど。ほうれん草と海苔が心強い。
マスターにライスが入った茶碗を渡す。すると、これでもかというぐらいたっぷりとあんかけそぼろをぶっかけて下さる。「わっしょい!わっしょい!」という幻聴が聴こえる。しかも「おかわりできますからね」の頼もしすぎる一言付き。
胡椒をパラリし、まずはスープ…。家系の中でもかなりの極上。ただし、どのあたりが尾道なのか分からない。背脂は浮いていないが、ラード風の被膜たっぷりでコクは充分。私は背脂そのものはそれほど好まないので、むしろちょうど良い。
尾道といえば魚介風味と背脂のコラボ。普段全国各地で啜る家系よりも魚介風味が濃い気がする。このあたりが尾道家系か。麺とのカラミも抜群で、チャーシューは分厚く柔らかく脂身少なく完全な私好み。
半分ほど啜り、にくめしに挑む。チャーシュー丼みたいなモノと先入観を持っていたが、完全に斜め上に来た。これならチャーシューメンと被らない。生姜の風味が効いており、脳みそが溶けるほどに旨い。夢中でかきこむ。ご飯を大盛によそっていたのでこれで充分。
残りのラーメンはニンニク、豆板醤、生姜で味変させて一気呵成。家系の汁を飲み干すのは山岡家ぐらいなのだが、こちらのお店の逸品も気づけば飲み干していた。
大満足で外に出る。寒風が轟いているが、私の体は芯から暖かい。鼻息荒くミッション会場へ歩を進めた。

