がんす。昭和49年神戸生まれの私にとって「がんす」とは怪物ランドの王子様に仕える狼シェフの口癖語尾だが、広島では魚肉練物を揚げた名物料理である。
師走の夕方。尾道駅から在来線でたっぷり100分ほどかけて同行氏と広島駅へ。尾道には新幹線の泊まる新尾道駅があるが、異様に遠くて路線検索するとバスで30分以上かかる。接続や本数を勘案すると、在来線と変わらないようだ。
令和に入り、広島駅は大幅にリニューアルしたようで、土産物売場や呑み屋ゾーンの充実っぷりが壮絶。街に勢いを感じさせる。
とりあえず駅構内で軽く呑もうとなり、何軒かあるなかで私が惹かれたのが立ち飲み屋。まさに「軽く」に相応しい。お好み焼き屋ならそれで終わってしまう。
この日は午前中に徳山を発ち広島を通り越して尾道へ。そして広島へ逆戻り。尾道ミッションは全集中でしゃべり倒し。生ビールが一瞬で空になる。
フードメニューを見る。定番が多く、どれもリーズナブルで好もしい。しかし、ここは広島。広島市内では駅構内も含め令和になってから初吞み。広島っぽい名物を口に入れたい。
「広島菜キムチ」は3週間ほど前に尾道駅前のラーメン屋で呑んだ際にツマミで食した。白菜、大根、胡瓜に続く第4のキムチか。広島県内以外でお目にかからない。さっぱり感はなくどっしりした味わいと歯ごたえだが、白米よりも酒に合いそうだ。頼まずにいられない。
そして、冒頭の「がんす」。全く予備知識なく注文してみた。島根県大田市が本拠で広島市内に単身赴任されている同行氏が「がんす」を説明して下さる。
思ったより大きなフライが4等分。ソースが掛かっている。千切りキャベツとマヨネーズも添えられている。まずはソースが掛かったところを齧りつく…。魚肉と思えぬ濃厚さ。体にも良さそうだ。マヨと絡めるとジャンク感も倍増。ハマってしまう。
生を2杯だけにし、バスで市内中心部へ。20時前だが、アーケード商店街はすごい人である。広島の活気に目を細める。
当然、もう一軒。今度はじっくり座り呑み。視界に入った肉系居酒屋でメガハイボール鯨飲しながら丼に入ったポテトフライ、串焼、煮込みなどに舌鼓。1軒目で広島を味わったので、2軒目は定番で。ただ、会話の内容が超弩級ホラー級の戦慄ゆえ、味をあまり覚えていない。
翌朝。平和大通沿いの我が全国の定宿(T横イン)の朝食会場へ。すっかり忘れていたが、平成末期に2度ほど、この宿に泊まった記憶が蘇る。
我が全国定宿、無料朝食が充実し始めた。ご当地メニューもあり、このホテルでは「がんす」だった。皿に盛りつける。ソースかマヨネーズがないか探したが見当たらなかった。
充実の広島駅構内。
広島菜キムチ。
がんす。
2軒目は街なかの半地下。
ラーメン鉢たっぷりのポテトフライが心強い。

