おにぎり屋。都心のド一等地で最近よく見かける。おにぎりは太古から日本人のDNAレベルのソウルフード。今更ながら、ブームが到来しているのかもしれない。
私の訪問先でも、おにぎり屋を創業したいという相談をよく受ける。最大のライバルはコンビニか。差別化を図るには、かなりの工夫や他の商品とのバランスが必要だろう。
令和6年度佐野創業塾実践編冬の陣「佐野でお店を持とう!」に30名近い申し込みがあった。個別相談をお二人お受けしたが、両名ともおにぎり屋を検討されていた。
佐野創業塾2日目最終回も終了し、21時半前に佐野駅へ。1時間に1本の両毛線は25分後。終電は85分後。微妙な時間である。よく利用していた駅前のコンビニは建て替え中である。
駅の真横にチェーン居酒屋が屹立している。店名以上に目を惹くのが「卓上サワー呑み放題600円(1時間税込660円)」。1年半ほど前、独りで90分満喫した記憶が蘇る。独りでも親切に対応して下さった。
時間は21時30分。呑み放題で60分。終電は85分後。創業塾を無事終えた安堵とご褒美。60分勝負に挑む決意を固めてドアを開ける。
焼台のある4人掛けに通される。店員さんに営業時間をお聞きする。ラストオーダーは23時。終電は22時57分。完璧な時間配分である。
4gウィスキーと炭酸、氷が運ばれてきた。卓上サワーはプレーンで、数あるシロップから2種類選べる。梅とレモンを選択。注文はQRだが、口頭でも構わないという。オヤジにはありがたい気配りである。
ポテトフライを頼んだ後、にんにくのホイル焼。これが絶妙である。にんにくを食べ終われば生卵を投下。独りキャンプのような楽しさがある。
烏賊のゴロ味噌ホイル焼もバターが効いて絶品。汁も肴になる。エリンギバターホイル焼、ししゃもも召還。どれも分かってらっしゃる逸品ぞろいである。
ハイボールを5杯まで数えてきたが、以降は覚えていない。サワーも2杯。おそらく60分で8杯以上呑んだはず。660円だから充分にモトは取れすぎている。
〆のメニューをチェック。汁なし担々麺が推しのようだが、汁ありが良い。おにぎりも400円ほどの高級路線が2ヶ。そういえば、2時間前におにぎりの相談を受けたことを思い出す。
私が選んだのは、絶対に家庭で再現しようと思わない、おにぎり専門店でも見たことがない「かに味噌焼きおにぎり」。税込み363円。私がこれまで食したおにぎりでは最高値かもしれぬ。‘かに味噌の風味が口いっぱいに広がります」とキャプションが添えられている。
注文したが、なかなか出てこない。おそらく厨房で焼いてくれているのだろう。以前、どこかの居酒屋でやきおにぎりを注文したら2分で出てきた。冷凍食品を温めただけだった。
ブツ、降臨。じっくりと焼き上げられている。焦げ目がほんのりとセクシー。
熱々を慎重にかぶりつく…。カリっとした食感の後、ふんわりとかに味噌の香りが口から鼻へ抜けた。かに味噌好きの私には最高のシメのご馳走だ。
チェーン居酒屋がこのハイレベルな焼きおにぎりを300円代で提供されたら、これから創業しておにぎり屋を目指す紳士淑女は凄まじいほどの工夫と努力と研究を強いられるだろう。
おにぎり、奥が深い。個人的には「おむすび」と呼称したいのだが。
佐野駅前の灯台。
卓上サワー&ハイボール。
どんなときも。
アレンジ@
アレンジA
シメ。

