2025年07月20日

第3719夜:東三河いなり包囲網【豊川・豊橋(愛知)】(後編)

 「ちくわ稲荷寿し」は同じく壺屋弁当部様の新機軸。豊橋名産のちくわ、日本一の生産を誇る大葉とうずら卵を稲荷寿しのキャンバスに用いた傑作弁当らしい。フタを開ける。……。美しさに息を呑む。定番(プレーン)以外の変わり種が実に凝っている。

 うずら卵の燻製と練り蒲鉾がトッピングさ。頬張ると、揚げのジューシーな煮汁の甘味と同時に燻製されたうずら卵のスモーキーな香りが鼻まで抜ける。うずら卵生産日本一らしき仕事ぶりある。うずら卵の日本一、という推しも微笑ましい。

 天ぷら衣をまとった大葉の爽やかさとコクが味を引き立てる。ちくわも歯ごたえとアクセントで貢献。ちなみに豊橋は大葉の生産も日本一だそうである。実にシブい。

 梅肉が和えられた輪切りちくわと大葉の稲荷は、歯ごたえが前面に押し出た一品。甘さでシビれてきた舌を梅の酸味と香りが引き締める。大葉との相性も実に良い。

 細巻きの具はちくわと干瓢。干瓢は細巻きの定番だが、その濃い歯ごたえと味づけに負けずちくわも直球勝負で主張している。海苔の風味も申し分なし。

 豪華絢爛な稲荷寿し絵巻に魅せられる。熱いお茶ではなく冷えた缶ビールが欲しくなる。巻寿司や稲荷寿司には缶ビールがこよなく相性がよい。私としては日本酒や焼酎、ウィスキーではなく、缶ビールが決定打。不思議だが、生や瓶でなく缶が相応しいように思える。

 ある昼。豊橋駅からこだま号で新横浜に向かう際、駅構内で見慣れぬパッケージが視界に入った。「飯田線秘境駅弁当」である。飯田線は豊橋から(たぶん)伸びるマニア垂涎の秘境路線。私は興味ないが、タ●リ倶楽部か何かのマニアックな特集で記憶が残っている。

 愛知県豊橋市には全く縁がない。用があるのは乗換のみ。豊橋駅は稲荷の包囲網が凄まじいが、幕の内系も見過ごせない。

 「飯田線秘境駅弁当」、秘境駅と同様にかなりレアな駅弁かもしれない。駅弁との出会いは一期一会。よほどのド定番駅弁でない限り、入荷待ちだったり品切れが多発する。

 2秒ほど迷ってブツを捕獲。指定席は満席なのに自由席が鬼のようにガラガラな新幹線こだま号指定席に乗りこむ。隣のいかにも仕事がデキそうなサラリーマン氏の横で、掛け紙を外す。美しい。どこが飯田線ゆかりなのか分からぬが、おそらく名産が詰まっているのだろう。

 みそかつ、エビチリ、椎茸肉詰フライ、しそ団子串、ワカサギ甘露煮、うずら玉子燻製、野菜旨煮(椎茸・蒟蒻・筍)、大葉はんぺん、餅菓子(口取り)、かりかり梅白御飯、山菜おこわ、ミニ稲荷、海苔巻(山牛蒡・しば漬)。酒が欲しくなるツマミばかり。どれもウマい。

 掛け紙を読みこむ。秘境駅ランキングが描かれており、沿線の6つの駅が紹介されている。いずれも昭和7年から11年にかけて開業している。

2位:小和田駅:静岡県浜松市天竜区水窪町

4位:田本駅:長野県下伊那郡泰阜村

13位:金野駅:長野県飯田市千代

30位:中井侍駅:長野県下伊那郡天龍村平岡

32位:為栗駅:長野県下伊那郡天龍村平岡

38位:千代駅:長野県飯田市千栄

 鉄チャンなら激しく首肯するのだろうが、私は「食べテツ」なのでマニアックすぎてサッパリ分からない。超弩級ローカル線に揺られながらこの駅弁をつつくと、旨さがさらに倍加するのかもしれない。

130227ちくわ稲荷寿し@豊橋.JPG

ちくわ稲荷。

141031飯田線秘境駅弁当@豊橋.jpg

豪華絢爛な秘境駅弁。

posted by machi at 07:10| Comment(0) | 愛知県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: