名探偵Kナン。ホームズ、ポワロ、金田一(祖父と孫)、明智、火村、江神…。古今東西名探偵は数あれど、少なくとも国内では最も人気のあるマネーメイキングディテクティブ(金を生み出す探偵)だろう。ちなみに昭和49年生の私にとってコナンは「未来少年」だ。
急に冷え込みだした11月中旬の朝。三ノ宮から鳥取へ向かう「スーパーはくと」がコNン列車。外装だけでなく車内もロンドンディテクティブな雰囲気。床、ドア、遮光カーテンまでコナン一色。手洗の鏡は蝶ネクタイのトリックアート。少ししゃがんでパシャリ。
私は『週刊Sンデー』で育っていない。タッチ、うる星やつらなど名作が揃う80年代はまだしも、Kナンは確か90年代にサンデー連載開始。『マガジン』K田一少年と双璧。漫画もTVアニメも馴染みなく、たまにTVで映画版を放映することがあれば観る程度。
映画版、ミステリというよりド派手なアクションアニメである。札幌ススキノの風俗案内所が『名案内コナン』だったことを思い出した。
自動改札が導入されていない鳥取駅着。駅員さんに切符を手渡して、タクシーで商工会議所へ。たっぷり150分休憩なしミッション終了後、タクシーが捕まらないので智頭街道沿いをホタホタ歩いて鳥取駅へ。さすが山陰。氷雨まじりで凄まじく寒い。体が冷え切った。
鳥取駅構内には名物と唄う『砂丘そば』がある。愛読コミック『駅弁特急』でも取り上げられていた。鳥取市へは2度目となったが、砂丘は未踏。
生まれてから20年間、須磨海岸まで自転車で10分に住んでいた。漁港なら徒歩10分。海は好きだが、砂丘というか、海岸に興味が湧かない。
砂丘に興味ないが「砂丘そば」には興味噴出。屋号を背負う最安値『砂丘そば』430円のボタンを押して震えながら店内へ。昼時は行列だが、17時はさすがに閑散。カウンターも4人掛けもパーテーションで区切られている。いまだにウィズコロナモード全開だ。
ブツを受け取る。具はネギと2切の竹輪のみ。ほぼかけそばである。蒲鉾なら朱が刺し色になるが、竹輪が出汁の色と同化。まさに、砂丘的虚無哲学の世界が広がっている。
出汁は甘さのないキリリとした切れ味。清貧を噛みしめつつ出家気分を味わう。夢中で熊啜。体が心から温まった。空腹も満たされたが、90分後に懇親会という連絡が入った。
我が全国各地の定宿(T横イン)へ向かう途中、駅弁売場を覗く。前述の『駅弁特急』で作者が日本一と称してやまぬ駅弁が鳥取駅弁『元祖かに寿し』。
調整元「アベ鳥取堂」様は十数種類の駅弁を取り扱う日本屈指の雄。17時で残っているのは『元祖かに寿し』以外すべて売り切れ。懇親会終了後、ホテルに戻って独り2次会の晩酌の肴に残りわずかの1箱を捕獲。鳥取の地カップ酒も抜け目なく購入した。
懇親会は<吉鳥>。焼鳥メインの屋号っぽいが、魚介が熱い。鳥取砂丘名物のらっきょ、旨い。知らなかったがハタハタも名物らしい。アタマからバリバリ。めちゃくちゃ旨い。
究極が「もさえび」。鮮度がすぐに落ちるゆえ地元でしか流通しない幻の海老らしい。これを焼いたものをバリバリ。9月から春先までらしい。旨すぎて鳥取の地酒に切り替える。
出汁巻、ポテトフライ、チーズ春巻、焼鳥。どれも安定の旨さ。そして圧巻が刺身の盛り合わせ。巨大な天然鯛の生け作りに鳥取山陰の海の幸がびっしり。これで5人前3000円以下は恐れ入る。超人気も納得。もさえびも生で頂く。味噌が最高である。
20時半ごろお開き。宿に戻る前にコンビニへ。鳥取のご当地ラーメン「鳥取ゴールド(牛骨ラーメン)」のカップ麺を買いたかったが売っておらず。私の自宅近くのスーパーでも売っているのが。しかし、「でかまる」35周年復刻版があった。食べた記憶かすかにある。懐かしい。
ユニットバスに入り、懇親会前に捕獲していた鳥取の地カップ酒で「元祖かに寿し」。旨いけど、『でかまる』のシンプルな醤油が強烈な印象を残した。
近畿〜山陰を疾走するコナン特急。
入ってすぐは迷宮の入口。
床のデザインがロンドンチック。
シートカバーにも。
窓の遮光はコミックが。
洗面台のトリック。
駅員手渡し昭和ストロングスタイル(3カ月前まで)。
鳥取駅構内の名物店。
禅問答のような「砂丘そば」。
砂丘名物「らっきょ」。
ハタハタは秋田以外にも鳥取で名物らしい。
鳥取県でなく鳥取市内でしかほぼ流通しないという幻の「モサエビ」。
これで3000円以下。何というポテンシャル。
部屋に戻って。
日本屈指の有名駅弁。
しみじみと懐かしい味。