<喫茶.903(きっさ・どっと・くまさん)>。2024年7月最終日に佐野駅からほど近い二条通り付近で新規創業した喫茶店である。
オーナーのM島氏は2022年度のアヅマプレゼンツ企画にご参加頂き、2023年には鹿沼チャレンジキッチンをご経験。そして2024年、創業を実現された。
氏の創業から3カ月半を経過した秋の午後。午前中に栃木市役所でミッションを終えて両毛線で佐野へ。打合せ後、佐野市役所のご担当者たちと「くまさん」へ。7人目となる佐野創業者インタビューの聴き手を務めるためである。
訪問前から謎が2つあった。一つは、立地。もう一つが店名。立地というか、路地裏どころか路地の奥の奥。佐野市民でもまず分からない一角である。一日の店頭通行量は20名も満たないだろう。駐車場の有無どころか、車も入れない。
屋号のくまさんも謎だった。何故なら、私なら見た目そのまんまだが、オーナーのM島氏はクマのイメージから程通りスレンダーなナイスミドルだからである。
食事を楽しまれているご年配の常連様の隣で、入れたての美味しい珈琲を味わいながらたっぷりとお話を伺う。
SNS(インスタグラム)の活用方法から経営理念、名物「ナポリタンスパゲティ」誕生秘話、内装のこだわりなど多岐にわたるお話に、都度首肯する。
立地に関すれば、よほど見事で戦略的な告知、そして店そのものの実力がなければ二の足を踏む場所である。目立つ目立たないというレベルでない。しかし、常連だけでなく新規客も着実に増えている。女子高校生も来店するという。
「立地に関係なく勝負できることを証明したかった」。勝負師である。そして、オープンしてまだ3カ月ちょっとなのに見事に勝利。佐野市外どころか千葉からの来店するそうだ。
ご本人のビジュアルからほど遠い「くまさん」という屋号。M島氏はDラえもん好きらしく、ドRえもんの誕生日が9月3日だから「903」。数字のごろ合わせだった。
昭和生まれでドラえもん世代の私だが、誕生日を50歳の今になるまで「6月6日」と思い込んでいた。昭和世代はなじみ深い絵描き唄のイメージが強いのだろう。
正式な屋号は「喫茶.903」。喫茶と数字の間に「.(ドット)」が含まれているのがポイントである。詳細は割愛するが、どっとお客様に来ていただきたいという想いも込められていた。
お客の8割が注文するという「ナポリタン」。ミートとナポリタンしか口にしないというM島オーナーに私も激しく首肯。
私の外食スパゲティはナポリタンが9割、ミートが1割。ただしめったに作らぬ自宅スパゲティで、ナポリタンなど作り方が分からない。ケチャップをぶっかけるだけなら全く別の食べ物で少しも旨くない。
自宅では市販缶をぶっかけるだけのミートソースか、茹でたてをチューブマーガリン、マヨネーズ、醤油をぶっかけてまぜまぜしたスパゲティしか自宅で口にしない。特に後者など、絶対に店でお金を取って出すことなどできないけれど。
佐野屈指に熱い創業スポット「二条通り」にてオープン。
スナックを居抜き。ゆえの味わい。