神有月。日本(世界?)中の八百万の神々が出雲に集う期間である。旧暦では10月中旬、新暦(今)では11月中旬という。その間、出雲以外は「神無月」となる。
出雲に神様が帰省する2日前、6時間かけて2週間ぶりに出雲入りした。
18時前に出雲市駅に到着し、18時30分から出雲大社、代官町(歓楽街)と並ぶ出雲3大聖地「中町商店会」にて濃密濃厚な2時間ミッションを終え、東京から出雲入りされた私の神々(クライアント様方)と出雲の幸を堪能すべく駅前の炉端居酒屋へ。
生で乾杯。私のこの夜の御神酒は2杯目からメガハイボール。ジョッキに「デカッ」の印字されており、思わず口から「デカッ」と感嘆が漏れる。
この日はバッタバタで朝昼固形物を腹に入れることができず、1食目は21時となった。空腹で腹の中の神様がお怒りモード。慌てて御神酒でなだめる。
お通し3種の中で「蛍烏賊沖漬」に目を細める。地酒が呑みたくなるも、ジョッキの重みが心地よい夜である。白いかの天ぷらも秀逸。塩にチョン付け。柔らかい。笑みが漏れる。
店名を冠した看板メニューが刺身盛合せの「かば盛り」。山陰の海の幸(たぶん)を卓上の「しじみ醤油」で。甘過ぎない風味。山陰のこだわりを感じさせる。
料理名は分からぬが、恐らく親鳥の山賊焼。豪快である。噛みしめるほどに奥深い野性的な滋味があふれ出す。メガハイが進む。
「出雲そばサラダ」なるものを頼んでみた。これまで駅構内の麺屋で幾度か啜ったことあり。まあ、これはサラダにせずともノーマルに啜れば良かったか。
注文はスマホでQRコードの読み取り。神様歴2年目の若手に操作を委ねる。ツマミを追加し、メガハイお代わりを繰り返し、いったんお開きに。
東京から降臨した二神は明日、出雲空港から東京へ戻るという。時間は22時半頃。大国主様は早朝便らしく御宿へ戻られた。白兎様は翌日余裕らしく、代官町1か月前に飛び込んでボトルをキープしたスナック<Jag>へ。
ボックス席でハイボールを鯨飲しながら白兎様と話し込む。店内はひっきりなしに客が入れ替わるも常に満席。恐らくヨソモノは白兎様と私だけ。
夜中1時前になった。白兎様と別れ、私はコンビニへ。小腹が空いてきた。外は冷え込んできた。ここは神有月の山陰であることを思い出した。神有月は神々だけでなく日本中、世界中から観光客も殺到する。我が定宿も満室だ。神々の飛行船(羽田→出雲)も満席だったらしい。
ホットケースに豚まんが。寒空の下、熱々を頬張りつつ定宿へ向かう。寒い冬の屋外の熱々豚まんと揚げたてコロッケは、八百万の神々も国譲りしてしまう禁断のエデンの果実である。