家系とんこつ醤油まぜスパ。大盛スパゲティの名店<パンチョ>創業(おそらく)15周年記念限定メニューである。物理的な量だけでなく情報量も多い商品名である。
秋も深まりだした夕刻。小倉駅周辺で遅い昼飯を腹に入れるべく、久々に小倉駅2階飲食ゾーン(ビエラ)へ。フジヤマで何か啜るかと新幹線口から階段を下りた私の視界に飛び込んできたのが、冒頭のパンチョ15周年家系メニューのポスターだった。
家系とは、言わずとしれた横浜家系ラーメン。もはやご当地でなく、全国に増殖している。私も愛してやまない。しかし、スパゲティ店の家系スパゲティは当然に未食である。
気づけばカウンターに座っていた。十数年前、都内(新橋だったか、秋葉原だったか)のパンチョでナポリタンを啜った衝撃は今でもうっすら記憶に残っている。私にとってスパゲティはナポリタンが95%、ミートソースが5%。他のメニューをまず注文することはない。
店内の「ナポリタンとミートソースがあればいい」と書かれたポスターに首肯しながら、期間限定メニューをタッチパネルで発掘。サイズは小と大。並が見当たらないあたりに哲学を感じる。トッピング増し(MAX)は200円プラス。私は「大」の「MAX」を選択した。
ぼんやり呆けていると、ブツ降臨。たしかに、家系ビジュアルである。海苔が家庭用の板海苔な点が幾分異なるが、うずら玉子、ほうれん草、刻みチャーシュー、そしてニンニクと生姜。汁無き家系ビジュアルである。
ふと気づいた。箸がない。スプーンとフォークが添えられている。「まぜそば」でなく「スパゲティ」だったことを思い出す。
最初は軽くかき混ぜて麺から…。普通に旨い。まぜそばとしてかなりの完成度。しっかりかき混ぜると濃厚さが増す。ニンニクがかなり効いている。しかし、家系を喰っているというよりまぜそばを喰っている感が強い。
家系ラーメン店では卓上の味変アイテムとしてニンニクと豆板醤が常備されている。しかし、ここはスパゲティ専門店。卓上にはタバスコと粉チーズ。
粉チーズをたっぷり振りかけてタバスコを少し垂らした。ずるるるる…。中華がイタリアンに早変わりした。変化というより、別の食べ物に。イリュージョンである。
いっきに喰い終えた。しかし、一抹の残尿感がある。旨かったが、何か足りない…。スープである。あの濃厚極まりないスープが家系の骨格であることを思い知らされた。
お会計を済ます。このメニューを頼んだ者限定で15周年記念バッジがもらえた。かなりの満足感で店を出て、ミッション会場に向かう前に定宿で荷を下ろそう。
旧魚町サンロードを南下していると、横浜家系ラーメン店がいつのまにかオープンしていた。思わず入りそうになったが、昼休憩で空いていなかった。
小倉駅構内の中2階。
その通りであります。
しかし、これはスルー出来ぬ。
チーズとタバスコで味変。