周南(徳山)名物。ふぐ(ふく)は下関のイメージである。徳山駅の土産物売場には山口県内の産品が並べられているが、周南(徳山)を前面の押し出したアイテムは見かけない。我が周南のミッション先の方々に名物をお聞きしても首を傾げられる。ご当地料理も特にないそうだ。
秋晴れが気持ちよい10月上旬。朝7時前に自宅を出て9時半すぎに徳山へ。朝10時から16時前まで駅に隣接する<トクヤマデッキ>5階でカンヅメだった。
終了後に北九州市の門司港で夜ミッションを控えている。新幹線乗車まで約1時間。夜メシにありつけるのは早くて21時だろう。
16時に商店街エリアへ。ファストフードチェーン以外、最も飲食店がシエスタしている時間帯。駅前のスタバか、駅構内の立ち食い系蕎麦屋か…。早めにオープンする居酒屋がチラチラ見えたが、ミッションを控える身に許されぬ。
ピアモール銀座商店街の両端に2軒のラーメン店が開いていた。北海道以外の全国各地で見かけるいかにも北海道な店名<Dさん子>と、ラーメン屋と思えぬ屋号だが全国各地どころか海外にも進出しているらしい蔵出し味噌の大帝国<T所商店>。どちらも味噌系である。
味噌ラーメンは徳山(周南)名物なのか。北海道以外であまり味噌を啜る気にならぬが空腹には勝てぬ。<どSん子>は日本のどっかで実食済(和歌山県田辺市など)ゆえ<田D>へ。
店頭で足を止めると、ドアががらりと開いた。客が出てくるのかと思いきや、店員さんだった。笑顔で「どうぞ〜」。不審者の私はフラフラと吸い込まれた。
注文はタッチパネルだが、ありがたいことにメニューブックもある。味噌は3種類。北海道、伊勢、信州から選ぶ。後はトッピングや定食など無限マトリックス。
せめて山口県か、中国地方の味噌なら多少の旅情気分を掻き立てられたのだが「北海道」を選択。ちなみに、少しだが味噌の種類によって値段に差がある。ガツンと行きたいので「北海道味噌炙りチャーシュー麺」のボタンを押す。
大盛にするか迷っていると、唐揚セットを見つけた。普段ならラーメン店であまり頼まぬサイドメニューだが、味噌味の唐揚という。いっそのこと、味噌づくしも興がある。
それ以上に惹かれたのが、10月3日から使用とある「南魚沼産の新米コシヒカリ」。
ちょうど1年前、私は魚沼市を訪ねた。魚沼産でなく「南魚沼産」とわざわざ書かれているところにニヤリとさせられる。ちなみに私が訪ねたのは「魚沼産」の本場だった。
ブツ降臨。スープはかなり濃い。札幌味噌進化系とも異なる。チャーシューも味が染み込んでいる。紙エプロンにもかなりの飛沫。
唐揚はそれほど味噌っぽくないが、南魚沼産の新米は最高のご馳走。今しか味わえぬ新米。それも1年と5日後の10月8日。味噌と米に日本人としての琴線が震えた。
それから5時間後。門司港ミッションを終え、北Q州商工会議所門司サービスセンターのツートップと小倉駅前の全国チェーンの餃子居酒屋へ。ホッピーをお代わりしつつ餃子を堪能。夕方、餃子セットを選ばず正解。しかし、眼前の炙りチャーシューには何故か手が伸びぬ。〔次夜後編〕
味噌らーめん専門店(とあります)。
いろんな味噌があるものである。
その通りであります。
どう見ても圧倒的な「推し」を選択。
ここでしか食べられないそうである。
「新米」という響きも令和7年5月現在、例年より心震わせるワードである。
味噌、味噌、新米。
5時間後、北九州市小倉駅前にて。