2025年05月03日

第3662夜:坂の下の酒【鹿沼(栃木)】

 坂下。会津地方では「ばんげ」と発音する地名である。下都賀地方(鹿沼)ではそのまんま「さかした」と発音する。ただし地名ではない。文字通り「坂の下のエリア」を指す。松山あたりでは坂の上に雲があるようだが、鹿沼では坂の下に呑み屋がある。

 鹿沼の‘坂上’<中華料理嘉蒂>でドラゴンハイボールや紹興酒をヤリつつ絶品中華を満喫した秋の夜、3人でタクシーで‘坂下’へ。向かった先は<えんちゃん>。串カツJu-Soから徒歩圏内の居酒屋。ジューソーM子店長行きつけであり、豪快なママが切り盛りしている。

 この店には半年ほど前にM子店長に連れられ1次会前の時間つぶしに同伴したことがある。その時はビールとカウンターにあった駄菓子で30分ほどだった。今回もたらふく中華を喰って呑んできたので、空腹感はない。呑むだけだ。

 M子店長のキープ焼酎を炭酸割りで頂く。お通しが鯖の塩焼と筑前煮。一口サイズの玉子サンドも。酒が進む味付けである。M子店長は常連さん方ともお知り合い。M越シウマイ次長もママと共通の知人がおられるようだ。

 M子店長オススメのおむすび(おかか)を握ってもらう。米全体におかかの風味。1ヶが大きい。添えられた紫蘇(たぶん)との相性も良い。空腹感なかったはずなのに一瞬で胃へ滅失。

 1件目(嘉蒂)の呑み始めが早かった。<えんちゃん>で2時間近く過ごしてもまだ23時にもなっていない。3軒目は私がリクエスト。地方都市の旅情あふれる場末スナックを。

 M子店長はどこかに電話して空き状況を確かめた。店の裏口から出ると、すぐ目の前に看板が。<ロリーナ>。この店もM子店長から耳にしたことがある。たしか、フィリピンのママがやっているのではなかったか。

 私は初ダイブ。ちょうど常連さんと入れ替わりに。ボックス席でM子ボトルをソーダ割で。

 ママのマシンガントークがさく裂。1件目の‘坂上’の中華料理嘉蒂のOオーナー(女性)は中国のご出身。2軒目の‘坂下’のママは恐らく生粋の鹿沼女。3軒目のママはフィリピン。鹿沼、多国籍である。

 ロリーナのママは日本に来て30年以上になるという。お店(スナック)も創業して30年ほどか。外国人が呑み屋さんで働くのは珍しくなく、むしろ日常の光景。しかし、お店を持つ経営者となると一気に少なくなる。

 鹿沼の坂下の夜を30年以上支えてきたロリーナのママ。今に至るまで、さぞ壮絶な苦労があったことだろう。ママは明るく笑い飛ばすだろうが、鹿沼創業塾でご講演いただいたらいかがだろうか。鹿沼でなくとも、私の担当する市町でお願いしようか。

 30分でお暇のつもりが2時間話し込んでしまい、空になったM子店長ボトルを追加した。

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坂の下の2軒目。

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おばんさいもおむすびも旨し。

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坂の下の3軒目。

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30分のつもりが120分。

(付記)

それから2か月後、鹿沼入りした際に<ロリーナ>のママが急遽体調を崩されて亡くなられたことを知った。あんだけ元気だったのに。心よりご冥福申し上げます。

posted by machi at 06:16| Comment(2) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あんなにお元気だったのに

楽しかったひと時
その思い出に感謝するのみです
Posted by ただ合掌 at 2025年05月03日 07:21
ほんと、感謝ですね。ジューソーから歩いて行ける距離のスナックという貴重性。私は結局1度しか行けてませんが良い思い出です。
Posted by アヅマ at 2025年05月04日 04:40
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