夜会。井原町商店街エリア活性化を推進する有志の団体「ともつく会」月1回定例会の名称である。商店主、主婦をはじめ様々な職業の方が来られる時間帯を考慮してか、夜に開催。名称の「夜会」がムーディで誠によろしい。「〜会議」より100倍以上参加意欲が湧いてくる。
残暑厳しい9月中旬の土曜の夕方。夜会会場(自治会館)入りし、十数名のメンバーの前で3時間ほぼぶっ通しでアヅマショー。商店街内の空き店舗、空き家、空き地と思しき約80枚の画像をメンバーであれやこれやと情報を出し合い、共有する。ほぼ休みなしの3時間だった。
この夜は若手中心のともつく会メンバーだけでなく、地域の重鎮型もご参加。女性が圧倒的に多い。皆さん、活発に議論を交わされる。
夜会は親睦を深めるための呑み会も大きな軸。商店街等の総菜などを肴に3時間しゃべり倒した後の私も缶ビール。いろいろお話を聞かせて頂きながら。
井原町商店街は三方を山に囲まれた谷あいの街。地形は閉鎖的だが商業者や住民は思いっきりフレンドリー。私のような謎のヨゴレなヨソモノ親父にも親しく話しかけて下さる。
夜会は日付が変わるまで続けられるという。私は23時前にお暇し、お宿の<舞鶴楼>へ。
この日は3連休の初日で満室だったが、宿のオーナーもともつく会メンバーらしく、何とか一室開けて頂いた。私の部屋はの204号室。向かう途中、201号室から203号室の前を通る。
それぞれの部屋に名前がついている。温泉旅館などでは珍しくない光景だが、ビジネス系ホテルではあまり見かけない。そのネーミングが極めて個性的だった。
201号室が「少年時代」、202号室が「夏まつり」、203号室が「カナリア」、そして我が204号室が「夕立」。共通点が分からない。この段階でピンときた御仁は恐らく還暦オーバーだろう。
部屋に入る。荷を解いてシャワーを浴びる。部屋は清潔極まりなく、シャワー室とトイレがセパレート。ドリップコーヒーなども常備されている。
椅子に座り、持参したウィスキーをチビチビやる。壁のポスターが視界に入った。雷(Thunder)、カエル(Frog)、立ち往生(Standstill)、嘘じゃない(No Kidding)、夕立(Cloudburst)の5文字が並んでいる。部屋の名称と言い、何かの暗号だろうか。
机の上に置かれている備え付けの本が視界に入った。聖書かと思いきや、そうでなかった。「井上陽水英訳詩集」。
ある意味、聖書のようなものである。ふとひらめいた。部屋の名前はすべて陽水氏の曲のタイトルでなかろうか。
翌朝。幾分曇り空で涼しい風が吹いている。外に出て煙草を吸っていると、他の宿泊客が私に話しかけてきた。
「今朝、降ってた雨もやんだみたいですね」
全く気付かなかった。よく見れば、路面がうっすらと濡れている。夕立ならぬ朝勃、じゃなく朝立だったようである。
四方を山に囲まれた井原市中心部。
舞鶴楼。
少年時代。
夏まつり。
カナリア。
夕立。私の宿泊部屋。
なかなか快適。
深夜の部屋晩酌。
オーナー様の趣味なのか。ご本人ゆかりの宿なのか。ある意味で、究極の聖書。

