鹿沼和牛。とちぎ和牛は聞いたことがあるような気がしないでもないが(もちろん未食)、鹿沼和牛は掛け値なしにその存在を存じ上げなかった。
鹿沼三大名物である「土(園芸用)」「コンニャク」「ニラ」に殴り込みをかけた「かぬまシウマイ」。わずか3年で横浜の次ぐらいにシウマイイメージの刷り込みに成功している。
2024年8月から12月にかけて、栃木県中小企業団体中央会&鹿沼商工会議所による全4回のシウマイの街おこしPJ研修が開催。1回目は丸々2時間、私の漫談。2回目は多様な業種業態のシウマイ関係者によるディスカッションである。
地元食品スーパー、観光協会、道の駅、市役所、信用金庫、蕎麦屋、串カツ屋、精肉店、印刷業、木工メーカー…。多様を極めている。共有テーマに苦労しつつ最大公約数から最適解抽出を試みる。「大きい」「肉肉しい」が2大特徴といえる。
敢えて定義を設定していない(2024年夏時点)かぬまシウマイ。市内で取扱店が70店舗を突破していた。定義がない分、各店が趣向を凝らしたオリジナルを展開している。
蕎麦屋さんは「ソバの実」と「エビ」を用いたシウマイを販売。お聞きすると、なかなかの人気っぷりである。ただ、蕎麦屋ゆえメニューも豊富でシウマイづくりに専念できぬという。
私は立ち蕎麦屋には行くが、本格的な座り蕎麦屋はめったに行かない。北九州滞在時の<資さん>ぐらいか。鹿沼の蕎麦屋でしか味わえぬオリジナルな「そばの実エビシウマイ」、ぜひお手合わせ願いたい。
精肉店なら蕎麦屋よりもシウマイ寄りな雰囲気だが、中華点心の店でないためどの店でも当然取り扱っているわけではない。私も旧知の精肉店の娘さんが研修にご参加。
娘さん曰く、売れすぎるとシウマイばかり作らねばならず、本業(精肉販売)がおろそかになるため販売個数を敢えて減らすために超高級路線にシフトしたシウマイを開発したそうな。冒頭の鹿沼和牛を使ったシウマイの販売である。高級路線ゆえ、ケースに入った6ヶ入りである。
2時間のシウマイ研修が終わりに近づいた頃、道の駅でかぬまシウマイを販売するジューソーチームの一員でもあるK渕氏が「シウマイ」の定義を問いだした。かぬまシウマイでなく、シウマイそのものの定義である。
意識したこともなかった。足利シュウマイなど、肉すら入っておらずソースで頂く。豚肉のイメージだが、牛肉でもシウマイだろう。ただ、皮で包むことは必須でないか。そうでなければ、さすがにただのつみれではないか。
出席者が首をかしげる中、それまで事務局として発言を控えていたM越氏が崎陽軒の方から聞いたシウマイの定義を自信たっぷりに披露した。〔次夜後編〕
かぬまシウマイの定義以前に、シウマイの定義とは?

