スィッチ。電源を通す物理的所作以外に、人に限らず生物には多かれ少なかれ何かのモードが発言するスィッチがある。スィッチがもたらす効果は「やる気がでる」「気合が入る」。電気を通すなど物理的所作では「推す」が、精神世界では「入る」と表現する。
ある蒸し暑い日の夕刻。北九州の台所・旦過市場に近接する商工貿易会館へ。メインミッションの30分前に簡単な打合せがあった。時間の単調あれど、必ず事前に実施されるルーティンである。その際にスィッチが入るということがあまりない。内容の確認中心だから。
特にこの日は疲労が濃かった。朝に栃木県小山市を発ち、7時間近くかけて小倉へ。その前日は朝が下野、昼が宇都宮郊外、夜が佐野という栃木県内トリプルヘッダー。疲れが抜け切れておらず、とても「スィッチが入る」状態でなかった。
ところは会議資料に目を通した瞬間、思いっきりスィッチが入った。旦過プロジェクトに携わって丸10年。数字が見えてきたことは幾度もあったが、タイムリミットが迫る中、具体的な「目標数値」が提示され、その実現に向けて動き出すという明確さが広がった。
事前打合せ終了後から本番が始まるまでの5分間、本番中における我がスィッチ議題、そして本番終了後の30分間。私は先走り、勇み足、空回りを続けた。疲れを1gも感じない。「ハイ」になっている。めったにない「まちづくりハイ」というヤツか。
<本陣>で冷たい瓶ビール大をヤっている第1陣と合流。珍しく大人数な8名に。燃え盛ったスィッチを冷やすべく、チンチンに冷えた瓶ビールで落ち着かせる。旨い。ビールが旨い夜は、充実した一日の証。ただし、空転し続けていたけれど。
ポテトフライ、焼鳥、塩辛、ごぼう唐揚、出汁巻玉子…。私の好物が並ぶ。
最近、旦過ミッション終了後の呑み会は最初から最後までビール派が勢力を拡大していたが、この日はオヤジ比率が高く、久々に麦焼酎派が巻き返す。90分もしないうちに焼酎ボトルが空になった時点でお会計した。
この日の私はテンション高かった。スィッチの余熱が残っている。クールダウンすべく2軒目の<ムーラン>へ。管理運営会社T中常務、旦過火災以来久々にお会いした旦過の守護神・H田県議もご一緒に。
ムーランは会議所M渡部長の数十年に及ぶ牙城。M渡氏、この夜はムーラン不在。H田先生はM渡氏と同級生か何かで非常に仲が良い。時間は22時半。M渡部長の携帯を鳴らす。そして15分後、本当に顔を出されるとは思わなかった。
M渡部長秘蔵のウィスキーや焼酎を鯨飲しながら、マスターの素麺を啜る。旨い。翌日は久々に帰神し、自宅でオンラインだけ。ようやく、この日の私のスィッチがオフになった。
外に出ると、小倉祇園太鼓の練習中。
北九州屈指の超人気店。
安い、早い、旨い。
絶対に頼んでしまう雲仙ハムステーキ。
ムーランにて。
夏の〆はサッパリと。