豚足。私には好みでない食べ物、自分からは頼まない食べ物など複数あるが、口に入れることすらできない、入れると間違いなくマーライオンになる東の横綱料理である。
ちなみに西の横綱無理料理は、とろサーモンを筆頭にした脂の乗り切った刺身。想像するだけで生唾、でなくえづきそうになる。大好物の人には大変申し訳ない、好みゆえ仕方なし。
そんな2文字がこれみよがしに前面に出ている呑み屋が昭和通り<アクションクラブ>の道路正面に屹立していた。知らなかった。店名は別のようだが、看板ものぼりもひたすら「豚足」の2文字がデカデカである。
アクションクラブ内で「専門店の生き残り策」ミッション終了後の21時。6人で向かう懇親会はその「豚足酒場」。店に入る前から私ははっきりと、豚足が食べられないという意思を伝えていた。私の顔や体形から豚足が大好物と勘違いされ大量に眼前に置かれたことが複数回あるからだ。
飯塚には他にも豚足をメニュー化している店があるらしい。名物なのか?
生ビールが染み込むように旨い。14時に始まり、終了は21時。数杯を流し込み、以降はそば焼酎の水割り。これがたっぷりである。
料理はすべて同行氏たちにお任せ。豚足はを注文せず、とん平焼、厚揚鉄板、牡蠣バター焼、皮パリパリなグリルチキン、タコさんウィンナー、焼そば…。大好物のつるべ打ち。素晴らしい店である。値段も安い。お客ひっきりなしも大納得。
ジュリーを唄いたいというN田氏と2、3年ぶりに<BREAK TIME>。この店はカラオケ熱唱用のステージがある。客層も若い。マスターがギターの生伴走をしてくれることも。カクテル、ウィスキー、生ビールなど数十種類あるドリンクが2時間呑み放題唄い放題システム。
N田氏は長渕氏やジュリー氏を熱唱。氏は以前、この店のステージでI井美樹氏『Miss You♪』を唄った鋼のメンタルの持ち主だ。
2軒目だが生ビールから始め、ジントニックへ。3杯目からはサントリーオールドをロックで鯨飲モードに。
途中、ハッピーバースディトゥユー〜♪とアカペラが聴こえてきた。マスターとママの声である。私も他の客も手拍子で口ずさむ。誰かのお誕生日らしい。おめでたいことである。
カウンターにカクテルグラスが10ヶほど並べられた。マスターが店からのサービスですと、ポンとシャンパンの栓を抜く。ご相伴に預かれるとは幸運である。
マスターの発声が始まる。
「こちら、13日に誕生日を迎えられた、神戸からお越しになられたアヅマさんです!」
固まった。口は半開きのまま思考が停止。1秒後、何が眼前に起きているのかを理解した。
その5日前、私は誕生日だった。50歳。半世紀に突入である。バースディハガキが2通届いた。1通は北九州のY木田氏から。もう1通がブレイクタイムのマスターだった。
私はこの店には3年ほど前に大勢と2回ほど訪れただけ。店内は広くいつも混んでいるのでマスターと軽く会話した程度で話し込んでいない。
マスターはそんなほぼイチゲンな私の顔を覚えているどころか、名前も、そして誕生日まで記憶されていた。仕込みでない。2軒目にこの店に飛び込んだのはたまたまだった。
マスターはすかさず、私の左隣に座るN田氏とのツーショット写真を撮った。程なくして、プレゼントですと手渡された。私の縄T氏のツーショット写真を飾られたフォトスタンドだ。
上部には「2024年6月13日 東朋治さん お誕生日おめでとうございます♪とある。下部には「人間の一生」と銘打たれた相田みつを風のポエムが。
これぞ「専門店の生き残り策」であり「大型店との差別化」であり「リピーター(常連)化の神髄」である。昼の4店舗訪問、夕方の日替ラーメン、豚足酒場、そして最後にパワフルすぎる専門店の究極が待っていた。
フォトスタンドのポエム。凄くいいことが書いてあるのだろうけど、写真の中のN田氏のおじいちゃんっぷりが壮絶すぎて笑ってしまい、詩の内容が頭に入ってこなかった。
夜ミッション開始前。ミッション会場の正面。
染み込む。
メニューにあれば頼んでしまう「とんぺい焼」。
牡蠣バター。
大好物。
気心知れたアクションクラブの面々と。
2軒目は<ブレイクタイム>。
マスターの伴奏で熱唱するN田氏。メンタル無双。
マスターがシャンパンを開けた。
マスターやママから「パチリ」。
数分後に完成。ジイさまとのツーショットだが、感激。