100万本のバラ。ベテラン女性シンガーソングライターのヒット曲である。私ですらサビは口ずさめる。ちなみにこのシンガーソングライターが80年代に超人気アイドルへ提供した『難破船』は名曲中の名曲。たまにカラオケで唄うこともある。
私はバラを買ったことも、もらったこともない。もちろん、贈ったこともない。そもそも花束を自分で見繕った記憶がない。
私が花を買うシチュエーションはただ一択。知人友人が新規オープンした際にお店に送る胡蝶蘭のみ。花屋で注文し、配送場所を告げて金を支払うだけ。私自身、自分が送った胡蝶蘭を見たことがない。
ある平日の朝8時台。佐野市役所に立ち寄り、花のように華がある役所のY口女史と歩いて<ハナノミセwood spoon>へ。2023年度からスタートした佐野市内創業者インタビュー特集の第4弾であり、2024年度一発目の取材である。
店舗2階の事務所スペースで17年前に創業した男性オーナーのK林氏からたっぷり1時間以上、ご多忙の中、お時間を割いて頂き様々なお話をお伺い。詳細は佐野市役所ホームページで閲覧できるので割愛するが、2つの事柄が非常に心に残った。
花屋の特徴として、経営者は男性だが店頭には女性販売員という組み合わせが多いという。なるほどと首肯。言われてみれば、花屋の前を通りかかるとたいていは女性が店頭に。
ここに商いのキモがあった。30代から50代ぐらいまでの男性は、奥様に誕生日祝い等で花を贈る際、女性店員には恥ずかしいのか注文をためらうという。男性が店頭に立つと、花を買うという習慣から縁遠い中年男性客を掘り起こすことができるらしい。まさに私はその世代。
シゴト上、脱毛サロンを創業した女性経営者をヒアリングした経験がある。このバカブログでも書いた記憶あるが、私は毛深いのに脱毛など1gも関心なかった。
脱毛など気にも留めていなかったが「介護脱毛」というジャンルを初めて耳にし、それが可能なタイムリミットの年齢に差し掛かっていることを知った。
脱毛箇所は「Yライン」「Oライン」。さすがに恥ずかしいので、もし介護脱毛するなら女性でなく男性に施術して頂きたいと感じた。それに近い感覚か。
冒頭の書いたように、私は胡蝶蘭しか買ったことがない。そのことを話すと、2つ目の衝撃を喰らった。胡蝶蘭、事務所系店舗には喜ばれるらしいが、飲食店や美容室など、店内を人が動き回る業種業態の店舗では、いわゆる人間の「導線」が阻害されるという。
今までの常識が音を立てて崩れていく。衝撃に目を剥いた私に、胡蝶蘭でなく花束を贈ってはどうかとK林氏。バラの花束を100本贈る方がインパクトもある。ただしすべて赤だと引かれるので、色をはずすという。「色をはずす」という表現にプロっぽさがにじみ出ている。
花束をもらうと、女性は特に喜ぶ。喜ばない女性はあまりいない。このような話にY口オーナーと意気投合している隣のY口女史に、身長169p、体重0.11トン、顔も体型も体毛も縄文系な50歳の私からでもバラの花束を100本もらうと嬉しいか聞いてみた。
女史は苦笑して私の視線を外し、何も答えなかった。

