泉南。厳密な定義は知らぬが大阪南部地方を指す(はずである)。私にとって泉南は「水茄子」のイメージが強い。
令和5年度の年度末ギリギリな寒い昼。「泉南市」商工会の商業振興委員会にお招き頂いた。90分のうち最初の50分はヒアリング、残りは意見交換や質疑応答に。
大阪府内のシゴトはコロナ禍に八尾で1日だけお伺いした。その前は8年前に遡る。泉南地方は初。恐らく人生で初めて「南海電車」に乗車した。
商工会のご担当者から最寄りの樽井駅から徒歩10分も掛からないとお聞きしていた。ところが樽井駅、改札が1か所しかなく商工会はその反対側。踏切も超えてグルーッと大回りせねばならない。直線距離では10分未満だろうが、感覚的に20分歩いた気分。
この日は朝から氷雨だった。天気予報の気温が高かったので私はジャンパーもコートも羽織らず薄着。寒さで震えた。
委員会のメイン議題は「イベント」。泉南の商環境や課題などもお聞きする。飲食店が極めて少ないことが分かった。隣接市へ食べに行くか、そもそも外食する習慣もないそうだ。
この日のミッションは17時過ぎに終了。神戸の自宅まで数回乗り継いで2時間半。毎週のように通っている北九州と変わらぬ。乗換回数と徒歩移動距離を勘案すればむしろ遠い。
関西空港に行くことはあっても泉南市に足を運ぶのは今宵で最後だろう。自宅に帰りつくまで何か腹に入れたい。できれば泉南の地の肴でイッパイやりたい。樽井駅前から商工会へ向かう途中、確かに飲食店はあまり見かけなかった。チェーン店など微塵もない。
終了後、ブラブラと樽井駅へ向かう。途中、とてもイチゲンで入れそうにない場末感溢れるスナックは2軒ほどあったが居酒屋などを見かけない。
間もなく駅に到着してしまうタイミングで、インドかネパール系の本格的なカレー屋が見えた。その手前に居酒屋があった。16時から開いているようだ。<和来>さん。「地魚料理」「手作り一品」の文字に惹かれる。
探せば他にも呑み屋はあるのだろうが、寒い上に空腹が激しい。デキとしてはイマイチだった我がミッションだが、とりあえず終えた安堵感もある。
外から中の様子は全く見えないが、暖簾を潜る。毎度のことながらイチゲンで飛び込む時の期待と不安を抱えて。冒険である。
カウンターに常連客が陣取っていた。「ご予約席」のプレートも視界に。入口から見えぬが奥にテーブル席があるようだ。厨房は私と同年代と思しき大将と女将が。
一人でも良いかとお聞きしたら笑顔でどうぞ。寒いがイチゲンらしく入口に一番近い席に陣取る。しかしすぐ後ろにファンヒーターがあり、結果的に正解だった。
瓶ビールを頼むとお通しが出てきた。揚げたての白身フライ。手の込んだお通しである。この店、大当たりの予感がする。
定番メニューも充実しているようだが、独りなので頼める品数に限界がある。よって「本日のオススメボード」を中心に組み立てる。イマイチどころかイマハチだった私のデキも自分の中で帳消しにできそうだ。
鮮魚系のメニューがボードを埋め尽くしている。刺身、フライ、揚物、煮付…。ユッケまである。迷ったが「地物」というワードをスルーできない。ただし、私は泉南の地物が何か分からない。海域から考えても神戸とあまり変わらない気もする。
ちなみにメニューに水茄子は無かった。時期がずれているのか…。先ほどの会議で出席者から水茄子は泉南地方の名物であるが「泉南市」ではないという発言を思い出した。〔次夜後編〕
初上陸。
ミッション会場。
突入。
戦略を構築する。