パブのシメ。本来パブはシメる店でなく、シメ前のプレリュードである。メシに力を入れているパブではシメ系メニューもあるかもしれぬが、私はあまりおめにかかったことがない。スパゲティナポリタンやサンドイッチはシメというより私にとってはツマミである。
私にとってのシメは「シル」であり「スープ」である。ざるそばや冷やしうどんはツユまで飲み干すので私の中ではシメに分類される。けど、夏場であっても温かいシルに勝るものなし。
3月上旬の寒い夜。小倉古船場の居酒屋にて6人で呑み喰いした後、旦過総合管理運営鰍r々税務顧問(ちなみに私は相談役)と<ムーランルージュ>へ。2024年初ムーランかもしれぬ。
焼酎をロックでヤリながら、空腹でないもののマスターの繰り出す数種類の小鉢に箸を伸ばさずにいられない。板わさ、てっぴ(ふぐ皮)などをツマミに税務顧問と久々にサシで話し込んでいると、マスターがシメを出してきた。
マスターはよほどコチラが満腹の意思表示をしない限り、シメを出して下さる。夏なら冷やしうどんやそうめん、冷やむぎなど。冬はうどんなどの温麺。リゾットやパスタの時もある。
この夜は中華そばだった。それも「ホルモンそば」。ダシも絶品、ホルモンもたっぷりで具をツマミに呑んでしまう。気づけば汁1滴残らない熊啜。
家が遠く終電が早い税務顧問は帰路につき、私はマスターらと深夜1時ごろまでド鯨飲。
その翌日。旦過総合管理運営鰍s中常務らと魚町の角打ちで地ビール、馬借の漁師直営居酒屋で海鮮をたらふく満喫した後、二晩連続で<ムーラン>へ。
カウンターの端にM渡アニキが陣取っており、その横にはキリリとした仕事のできるオーラがプンプン漂っている相当な美女が。経緯は分からぬが、1軒目の呑み会で御両人はお知り合いになったらしく、そのまま仲睦まじくムーランになだれ込んだらしい。
ムーランのシステムは原則として「持ち込み性」。T中常務が福島県の地ウィスキーを持参しており、それをロックでヤる。常務を挟んで美女が座っているため、私も普段より声が張り上げてしまう。酒のピッチも加速する。
カウンターのEミ嬢の手作り小鉢(南京煮)やマスター小鉢に舌の鼓を打ち鳴らしまくっていると、マスターは早めにシメを出してきた。
思わず目を剥いた。昨晩のホルモンそば(ラーメン)にも度肝抜かれたが、この夜はさらに上を行く。「海鮮ちゃんぽん」だった。頂きに海老が鎮座している。
全員無言になった。夢中で丼に顔を近づけ、ズルルルと啜り込んでいる。1軒目は海鮮居酒屋で、特にシメなかった。2軒目で海鮮系の麺類、それもちゃんぽんでシメられるとは。それもパブで。北九州小倉の底知れぬ魅力、魔力、奥深さである。
数品のおまかせ小鉢。
この日はホルモンそば。
この日は海鮮ちゃんぽん。
(付記)
この時ムーランで出会った美女、7か月後に京都市内のミッション先の会議でバッタリ。度肝抜かれました。