油そば。首都圏でよく目にするラーメンの新形態である。大きな違いはスープがないこと。私は「まぜそば」と「油そば」の違いが分からない。
首都圏といっても私のミッション先はコロナ以降はほぼ春日部一択。大宮は乗換等で頻繁に下車散策するが、都内はめったに改札から出ない。たまに出るとラーメンの世界は百花繚乱。
私は「スープ(汁)」を好むので、まぜそばまたは油そばを啜る機会は1年に1度もない。ラーメンとの割合は50:1ぐらいか。
2024年2月中旬。小倉駅前のアーケードへ。<シロヤ>はいつもながらの大行列。その前の店が工事中だった。短いアーケードだがド一等地ゆえ、店舗が頻繁に入れ替わる。
その日、最初は工事風景を見ても何とも思わなかったのだが、店舗正面に赤い電飾看板が取り付けられている最中だった。「油そば」とあった。そういえば、北九州で油そばを観たことがないかもしれない。
小倉でも二郎インスパイア系は見かけるようになった。3店舗ほどで実食済である。横浜家系は<山岡家>が若松に進出した数年前に衝撃を受けた。ただし山岡家は「ラーメン」としか表記がなく、「横浜」の2文字はどこにもない。ちなみに30年前、山岡家は札幌ラーメンだと思い込んでいた。
当初は若松だけだったが、西港にも山岡家の2店舗目がオープンしていた。確実に家系の醤油豚骨が白濁ド豚骨の九州にも浸透しつつある。
2023年冬頃、魚町サンロードに「横浜家系」をはっきり名乗るラーメン店がオープンした。横浜家系、東京油そば。首都圏の麺波は確実に九州まで押し寄せている。
油そば店が工事していた一週間後、その店の前に行列ができていた。もうオープンしていた。あっという間である。その2週間後の16時。小倉駅に到着した私は空腹を極めていた。新幹線車中、ずっと腹がキュルキュル鳴っていた。
ミッションは90分後。馬借の定宿にチェックインしたとしてもたっぷり余裕がある。外は氷雨。アーケード街からはみ出したくない。
16時ゆえか、油そばの店の前に行列がなかった。店内は1席だけ空いていた。カウンターだけの小さな店のようだ。<東京油組総本店小倉組>の引き戸を開けた。
券売機と対峙。油そばが並(160g)、大(240g)、W(320g)の3種で、どれも880円均一。迷わず「W」。トッピングも試みるが、まぜそばのトッピングなど分からない。
「おすすめ」とあったスペシャルトッピングB(チャーシュー2枚・ねぎゴマ・半熟たまご)340円をプッシュ。すりおろしにんにくは無料らしく、迷わずお願いする。〔次夜後編〕
魚町サンロードに横浜進出。
小倉駅前に東京進出。