ライトライン。2023年夏に開業した宇都宮と芳賀を往復する黄色い車体が眩しい路面電車である。試走の際に脱線したというキュートな一面も。なぜ「ライト」で「イエロー」なのか。宇都宮は日本一、雷がよく落ちる街だかららしい。
ライトラインは宇都宮駅東口が起点。栃木県と本格的の御縁が始まってからずっと大規模工事中だった。噴水や空中庭園、商業施設が整備された。私は東口をあまり利用しない。一度ラウンジに連れて行って頂いた程度。2回ほどビジネスホテルに泊まったこともあったか。
極寒な令和5年1月の夜。4人で宇都宮駅から徒歩3分程度のライトライン沿いの個室居酒屋へ。私を除く3人は30代前半で同い年。急用や残業で欠席2人も同い年。5年目を迎えた「とちぎまるごと創業プロデュース事業」事務局チームである。
県庁と県産振センターで構成。センター担当者は栃木県内最強地方銀行A利銀行の出向者。初代から3代目まで同い年というのも稀。3人とも仕事ができ、気持ち良い若手たちである。
呑み放題に。ただし90分制で料理を1人2品以上頼まねばならない。つまり、8品である。
生で乾杯。全員よく呑む。ちなみに欠席の2人もよく呑む。最近の若手は酒は吞まないとよく耳にするが、私の周りの若手は頼もしきド酒呑みが揃っている。
彼らは「ゆとり世代」らしい。はっきり定義を知らなかったが、彼らの時から学校が土日休みになったという。そういえば、私の学生の頃などは土曜は午前中だけ授業があったことを思い出した。個人的な持論だが、日本経済の衰退は「週休2日制」にあると信じている。
豚しゃぶ鍋を4人前。残りの4品は唐揚、ポテトフライ、牡蠣フライ(バター炒めだったか)、焼鳥盛合せ。若さの食卓は「茶色」に比例する。私も「茶色」ばかり口にする49歳オヤジ。3人より一回り以上オッサンだ。
楽しく談笑しつつ鯨飲していると、あっという間のノミホ終了時間に。私の宿は小山ゆえ23時前の終電で帰らねばならぬが、まだ1時間以上ある。もう一軒。できれば駅近が良い。
店を探していると、凄まじい数のキャッチが押し寄せてくる。宇都宮駅東口は呼び込みが超絶に多いらしい。ちなみに小山駅東口もキャッチが多い。
キャッチをすり抜け適当にヒマそうな焼肉屋に飛び込んだ。客はゼロ。かなり年配の熟女がホールを切り盛りしてる。「黒ワイン」なるものをボトルで頼んで乾杯。私は「センマイ刺」を注文。若手たちは肉をガンガン注文。ワインが空になり、私はハイボールに。
笑って話して呑んで喰う。楽しい。いい夜である。ふと腕時計を見たら、終電まで10分。全く失念していた。よほど私も楽しかったのだろう。大慌てて店を出る。ギリギリの時間だ。
同行氏の一人は別路線の終電。一緒に駅に向かう。私の終電がホームに止まっている。あと3分。間に合いそうだ。ところが、その電車が小山方面へ動き出した。
えッ…。10時42分終電なのに48分と思い込んでいた。6分間違えていた。悲嘆に暮れた。
肩を落としながらタクシー乗り場へ。何のため駅の近くで呑んだのか。呑み足りぬのに店を出たのか。そして、いくらかかるのか。小山〜宇都宮駅は電車で約25分。運賃は510円だ。
先頭のタクシーに乗り込み、小山駅と伝える。運転手さんは「エッ」と呻きを漏らした。
いくらぐらいかかるのか聞いてみた。「う〜ん、12000〜13000円ですかね。」
ホテルに泊まる方が安いだろう。平日なので空きはあるはず。宇都宮駅周辺のホテル数は凄まじい。しかし、明日は朝から佐野でミッション。小山からなら30分だが、宇都宮からなら乗換接続が悪ければ1時間以上かかってしまう。タクシーで小山に戻ることにした。
途中、頻繁に訪れる下野市役所の前を通った。メーターを見た。1万円を優に超えている。距離はまだ5分の3程度。
小山駅に着いた。メーターの数字は運転手さんの推測にプラス5000円。かなり高級な宇都宮のホテルに泊まってもお釣りが余裕でくる乗車料金だった。
私の心に雷雨が落ちた。ライトライン、芳賀だけでなく小山まで新たな路線を開拓してもらえないだろうか。終夜営業で。
ライトライン(奥の黄色)。
空中庭園。
若さの証。
私(左端)以外は30代前半の同い年。
2軒目の焼肉。この後に悲劇が。