旭川醤油。札幌味噌、函館塩と並ぶ北海道3大ラーメンのエース格である(私にとって)。私は醤油好きゆえ、この三峰では旭川を最も好む。私は富良野へは頻繁に通っているが、旭川で全く用事がない。ただし、中間に位置する旭川空港は富良野から1時間ゆえよく利用する。
旭川ラーメンの名店は多い。私の実食済は<山頭火><梅光軒>。崩壊した札幌らーめん共和国や新千歳空港内の北海道ラーメン道場、札幌ススキノなどで啜ってきた。
12月上旬の平日午後ゆえか、満席ばかりの羽田→旭川便が珍しく空席たっぷり。空港着後、富良野へ向かうがバスをちょうど1時間待たねばならない。
この日は北九州小倉の定宿で朝飯を腹に入れていた。富良野ミッション終了後の呑み喰いは21時頃から。富良野に着けば<山岡家>あれど、啜る時間はない。
唯一の飲食ゾーンである空港内のフードコートへ。何店舗か連なる中、「赤」の<梅光軒>と「白」の<山頭火>が軒を連ねている。旭川空港内でメシを喰うのは数年ぶりか。
どちらにするか…。迷う。惑う。ちなみにフードコートはガラッガラである。
<山頭火>に決めた。券売機と対峙。旭川の代表選手ゆえ「しょうゆ」を啜ってきたが、この店は「塩」がイチオシかつ定番。普段なら迷わず醤油なのだが、あえて「塩」に。
チャーシューメンにするか、大盛か、並か…。‘ちび’があった。ハーフサイズの意味だろう。並が950円。ちびが850円。100円しか変わらない…。悪魔がささやいてきた。
隣の<梅光軒>もハーフあり。2店舗のハーフサイズを啜り比べるのはどうか。考えてみれば、旭川空港のこのフードコートしかできない神の御業。しかし、ハーフ(ちび)で850円は空港といえ高い気もする。ハーフでは本質が掴めない気もする。
結局、最も平凡な選択である山頭火「しおの並」を押した。チケットを調理熟女に手渡し、出来上がりお知らせブザーを受け取る。ここからが自分で言うのも何だが、非凡さを発揮。
そのまま隣の<梅光軒>の券売機へ向かい、定番の「旭川醤油の並」をタッチ。まさかの「並」サイズの両巨頭食べ比べ。観客がいなくて寂しいほどだ。
水を入れてテーブルを確保したら<山頭火>のブザーが震えた。受け取って我が島(テーブル)へ。すると今度は<梅光軒>のブザーが。眼前に龍虎が並ぶ。丼のサイズが全く異なる。山頭火、ミニかと思った。30円の違いと言え、啜る前は圧倒的に梅光軒が100馬身リード。
最初に受け取った<山頭火>から。スープ…。いわゆる「とんこつ塩」。この味にまずハズレなし。麺とのカラミも良い。チャーシューはとろ肉系。醤油より塩を推しているだけはある。
続いて<梅光軒>…。かなりあっさりな旭川醤油味。チャーシューは私好みの肩ロース。
ふと気づいた。交互に同じペースで啜り飲んでいるが、ミニサイズに見えた<山頭火>が減らない。何故だ…。
秘密が分かった。丼のフォルムにあった。真上から見ると梅光軒が大きいが、真横から見ると三角形に近い梅光軒よりも山頭火は角度が緩い。もしかして、同じだけの分量なのかもしれない。宇宙の神秘に触れた気がした。
大満腹である。どちらもスープは呑み干せなかった。サイズ的にはハーフ2杯でちょうど良かったのだろう。ラーメン2杯はラーメン2玉よりヘビーである。
外に出た。12月の旭川なのに雨が降っている。気温も5度。マイナスではない。
空前絶後の旭川ラーメン勝手に食べ比べ勝負、啜る前は梅光軒。啜っている最中は互角。値段は30円安い山頭火。丼の秘密を知ってからは…がっぷり四つの水入りである。
左が梅光軒、右が山頭火。まさに龍虎。
コロナ禍のごときほぼ無観客。
左が梅光軒、右が山頭火。平面図なら梅光軒が圧勝。
左が梅光軒、右が山頭火。立面図では…。

