洋定食。会津若松市の中心・神明通り商店街の面したビジネスホテルの朝食は「和」と「洋」で選ぶことができる。バイキングでなく、セット(定食)。確か900円か1000円だった。
2023年夏、たまたまこの定宿で朝食を食べる機会があった。「和定食」を選択。とんでもない衝撃を喰らった。こんなに豪華なのか。もはや懐石。地酒が呑みたくなるではないか。
和と洋は同じ値段。洋もこのテンションなのか。周りを見渡しても「洋」は見かけぬ。我が会津ミッションもわずか。機会があれば、でなく機会を作り洋定食を試さねば。固く誓った。
朝飯の誓いから半年後。ぐっと冷え込んだ朝、上下作業着&持参スリッパで1階朝食会場へ。前夜に夜中1時過ぎまでド鯨飲ゆえ食欲皆無。1時間後にミッション会場(ホテルの真ん前)へ向かわねばならぬ。部屋のユニットバスで第1弾の酒抜き。第2弾は熱い珈琲。
チケットを手渡し、カップに珈琲を注ぐ。少しづつ覚醒。オレンジジュース、牛乳、トマトジュースが見えた。私は牛乳が得意でないゆえ、オレンジをグイイ。体が起きてきた。
納豆、板海苔、こづゆ(福島の郷土料理)、にしん山椒漬(同)は無料食べ放題。どれも洋食に合わぬが、貧乏性ゆえ卓上に並べる。
我が洋定食が降臨。思わず目を剥く。百花繚乱である。宮廷である。ワルツが脳内に響く。
周りの宿泊客は全員和定食。私だけ洋定食。厨房の皆さまは圧倒的な和の優勢の最中、劣勢の洋の調理は面倒くさいかもしれぬが、優越感に浸る。自分自身、余裕を漂わせたオーラが放たれている気もする。
パンは3種。バミューダのトースターで温める。それぞれマーガリン、マーマレードなどを抱き合わせ。笑みが漏れる。
野菜スープは体が喜んでいる。唐揚、ウィンナー、ポテサラの居酒屋三銃士も朝から活躍。ピクルスが爽やかな口直しである。生野菜は大根がたっぷり。しかし、ドレッシングが卓上にもドリンクコーナーにもない。塩は卓上。
10日ほど前、会津若松市内の居酒屋で辛味大根を漬け汁にした「高遠そば」を啜った。もしかして、ドレッシングを付けずに大根の、野菜の鮮度を堪能せよということか。
普段なら生野菜はスルーだが、試されている気がした。何もつけず口へ…。辛い。ピリピリした大根の鮮烈。食べても減らぬ量。途中から飽きてきたが、私にしては珍しく健康に留意。
珈琲をお替りし、茹で卵の殻をむく。塩を振り、口に運ぶ。もし朝食で「1品」だけとしたら、私は「ゆで卵」を選ぶ。それにホット珈琲を合わせる。気分は昭和の純喫茶である。
無料サービスのこづゆ、納豆、板海苔、にしん山椒漬を一気に平らげる。この4品にはさすがに熱い白米が欲しくなる。デザートのオレンジ、ヨーグルトを片付ける。
満腹である。エナジーが漲っている。和だけじゃない、洋の深遠な世界。部屋に持ち帰るため紙コップにコーヒーを入れるべく席を立った時、コーヒーフレッシュサイズの極小カップが視界に。気づかなかった。何かの茶色い液体が入っている。会津オリジナルな健康飲料か。
指でつまみ、イッキに飲み干す。その瞬間、目を剥いた。胡麻ドレッシングだった。
ヨーロッパの宮殿?

