モモ。この2文字からヒトは様々なモノを連想するだろう。しかし「餃子」を連想する日本人は存在するのだろうか。
ある11月3連休中日の土曜の午後。14時過ぎに北九州門司港を発ち、色々乗り継いで21時前に栃木駅へ。移動時間中、ひたすらPC猿打していた。いや、小倉駅から関門海峡を抜けるまでのわずかの間にコンビニ「明太のり弁当」と門司港市場の総菜を腹に入れたか。
21時以降の栃木駅前はチェーン居酒屋あれど、私の知る限り個人居酒屋はあまりない。ホテルまで駅から徒歩25分。タクシーならあっという間だが、ホテル内居酒屋の営業時間が終わってしまうかもしれない。途中にコンビニへ寄りたく、タクシーの選択肢が消えた。
何度も栃木に足を運び、泊っているとはいえコンビニ晩酌は切ない。駅前のファミレスか牛丼チェーンか回転寿司か、駅構内のチェーン居酒屋か。
ファミレスにするか…。向かう途中、ラーメン屋の赤暖簾が。店名は「豚キチ」なのか「momo」なのか分からない。その2文字の間に「combo」という記号も。 店頭ディスプレイでは、餃子とラーメンの店であるらしい。それも、豚骨。
私は豚骨の本場・九州(北九州)から栃木入りしている。毎週のように北九州入りしているため、九州以外で豚骨を啜ろうと思ったことがない。栃木市の隣は全国に名高いラーメンの街・佐野市。栃木市の豚骨がどのようなものか試したくなった。ただ、少し飲みたい。
入店。常連風でもない中年オヤジ数人が店員さんに悪態をつきながらガンガン呑んでいる。居酒屋代わりに利用しているのだろう。
券売機スタイルだった。飲み物は「レモンサワー」。ラーメンは豚骨とチャーシューメンぐらいだが、餃子が豚餃子、鶏餃子、野菜餃子の3種。それぞれに「蒸し」と「焼き」がある。
鶏餃子が気になる中、「COMBOセット」発見。豚骨ラーメンと恐らく豚蒸し餃子5ヶのセット。単品で頼めば合わせて1230円。セットなら1100円。130円もお得。缶チューハイ1本分と思えば剛毅なサービスだ。
セットのボタンを押す。券売機を店員さんの渡す。店員さん、日本語ペラッペラだがどこか中東のお国の雰囲気。
麺の硬さを聞かれた。本格的でないか。普通、硬め、バリカタ。私は硬めを選択。ただし、先に餃子とサワーでヤリたいからラーメンは後だしを依頼。快諾頂いた。
サワーをチビチビやりながらPOPを見る。違和感があった。モモ(餃子)のソースとあり「チリ」「ティムール」「パクチー」「カレー」とある。餃子をエキゾチックなソースで味わうのか。しかし、卓上には醤油、ラー油、酢の他、紅生姜や高菜、ごまも常備。
モモとは店名だと思いきや、どこかの国では餃子のことを指すのか。謎は深まる。
ブツが出てきた。5ヶ。餃子というより、思いっきり小籠包なビジュアル。
1ヶづつ小皿に取り、上からそれぞれ4種類のソースを少し垂らして口に運んでいく。…。皮が弾け、肉汁が飛び散る。熱い。さすが小籠包スタイル。4種のソースは…。ティムールがその名称からも不穏な怪しさを醸し出していた。
残りの1ヶは醤油とラー油と酢とニンニクで。私、やっぱりコレである。
豚骨ラーメンを出してもらう。チャーシューの大きさがビジュアルとあまりにも違うがご愛敬。まずはスープ…。本場人がどう評価するか分からない。私も本場の味は存じ上げている。
結論。私好みの豚骨味。重層的でないかもしれぬ。あっさりかもしれぬ。しかし、しっかりとマイルドで旨い。浸透圧もぴったり。本場でも紅生姜や高菜を卓上に置かない店は少なくないが、常備している点もポイント高い。
替玉もあったが夢中で啜り、スープが無くなった。かなりも満足感である。餃子、今度は焼で試したい。4種のソースでなく、醤油とラー油とニンニクと酢で。
この赤暖簾、飛び込まずにいられない。
メニューを前に、世界観の違いに戸惑う。
餃子=モモとは知らなんだ。タレも独特。
叡智が試される時。
意外なほどオーソドックスかつ本場に近いビジュアル。東日本であまり見かけない青ネギのみじん切りとキクラゲ。