汗が噴き出してきた。2種類のラーメンを食べ比べられる至福とシアワセとシュール感。私は、壮絶に凄まじい経験をしている。
麺を啜り切った。スープは普段飲み干すが、さすがに2杯分のスープは飲み干せない。
会津ラーメンvs喜多方ラーメン。超絶に甲乙つけがたし。どちらも、本当に旨い。この店だからかもしれないが。このお店はあくまでも「食べ比べ」。勝手に勝負させたのは私の早計。
ふと気づいた。ほんのわずかだが、喜多方の方がスープが減っている…。その意味は記さない。もはや、ミスター味っ子の対決世界である。
翌朝。定宿をチェックアウトし、ブラブラ歩いて<大笑家>へ。朝7時からラーメンが味わえる貴重なお店である。いつか忘れたが以前朝ラーを堪能。それから何度も通りかかるも改装中か何かで閉まっていた。この日、暖簾が出ていた。
こわもてのマスターが厨房で存在感を放っている。以前もそうだったが、屋号とこれほど対照的にかけ離れた緊張感溢れる店内のギャップがクセになる。
券売機と対峙。「肉ワンタン麺大盛」のボタンを押す。チャーシューメンとワンタンメンの組合せを最も好む。このメニュー見つけたら何も考えず注文している。
水を飲みながらぼんやりしていると、オヤジさんがブツを運んできて下さった。不愛想に見えてすてきな接客である。
胡椒をパラリ。スープから…。これは会津なのか、喜多方なのか。
前日、会津ラーメンと喜多方ラーメンを食べ比べていた。喜多方は朝からラーメン店が開いている「朝ラー文化」。その印象が強く、この店を勝手に喜多方ラーメンと思い込んでいた。
醤油ベースである。魚介の風味が濃い。完全に私好みの味。麺もチャーシューも喜多方系。会津系でもある。しかし、スープは会津よりだが離れている。昨日学んだ「バラエティ」が会津の真骨頂らしい。
麺を啜り切り、最後はワンタンをツルン。気づけば汁一滴残っていなかった。オヤジさんの愛想よいお礼の言葉を背に店を出る。
ふと気づいた。「会津」「喜多方」の文字がどこにもない。あるのは「こだわり支那そば」。ここは会津でも喜多方でもなく「支那そば」だったのか。休戦、達観、抱擁、そして平和。ノーサイドである。両者とも勝者である。いや、勝ち負けの向こうに広がる天界である。
「支那そば」という4文字からは昭和の香りも漂ってくる。旨さが保証された4文字。
「会津地方」のラーメン、どこまでも深くて魅力的な抜け出せない、抜け出したくないラビリンスである。ちなみに栃木県佐野市内のダンジョンっぷりも抜け出せない。地上に出たくない魅力に私、沼っている。
朝7時から営業。
ヌマっています。