福岡県春日市。十数年間、毎月どころか毎週のように福岡県に通っている兵庫県民の私だが、そのうち95%が北九州市、4%が飯塚市。その位置、特徴など何一つ存じ上げなかった。
後から知ったが、福岡市に隣接する、人口増加な勢いのある市という。そんな力強い春日市の商業関係者21名が西日本の至宝・旦過市場に視察に見えられた。
前日から北九州入り(黒崎)していた私は、夕方から若松へ。それまで時間がたっぷり余っている。視察は午前中という情報を聞きつけ、その場に乱入した。
市場事務所でK瀬旦過市場商店街会長が30分間プレゼン。旦過の歴史、火災前と火災後、復旧から復興へ、再整備の概要を分かりやすくコンパクトにご説明。春日の皆さまだけでなく、私も激しく首肯する。
皆さまは現場視察に。私はついでに仮設商店街「旦過青空市場」へ移転した<いぶしや>さんで最強無双の酒のアテな燻製を2袋購入。店主のH氏と談笑し、そのまま早めの昼飯へ。
向かった先は同じ青空市場内の超人気海鮮料理<あらまき>さん。市場や役所の御仁らから日替セットや海鮮丼が絶品と以前から耳にしていた。
小倉での昼飯は普段はラーメン、カツカレー、カツ丼、餃子系定食だが、同じ県内とはいえ視察対応に我が観光モードが目覚めたようだ。
飛び込む。店内はカウンターだけで6席程度。若い女性グループが華やいでいる。正午前ゆえ、座席を確保できた。
日替わりが何か気になった。焼魚、煮魚、刺身、アジフライなどのセットも旨そうだが、入る前から「海鮮丼」と決めていた。注文した数秒後、「特選海鮮丼」なるメニューを見つけた。ノーマルが1408円、特選が2,200円。
人間たるもの、一寸先は闇。日々全力で生きあがかねばならない。後悔を残してはならない。「特選海鮮丼」に変更した。昼メシに2000円以上など、多治見で味わう鰻以来だ。
熱いお茶を飲んでいると、女将と女性たちの会話が耳に入ってくる。女性グループは大阪からの観光らしい。私は隣県の兵庫県から。上下作業着で手荷物は汚れたトートバッグだけ。地元の工事関係者にしか見えぬ出で立ちゆえか、女将は私にどこから来たのか聞いてこない。
ブツ降臨。割烹である。懐石である。仮設市場の概念を遥かに超えた竜宮城が聳え立っている。3種類の小鉢、粗の味噌汁を従え、圧倒的存在感の海鮮城が屹立している。
特製の醤油タレに山葵を溶いてぶっかける。魚介はその日の仕入れで変わるそうで、ある意味で日替わり、一期一会な丼だ。
鰹、鱧、海老、雲丹、鮪、鯛、帆立、いくら…。メインはシマアジ。タレを追加で頂き、シマアジはタレに浸してヅケにする。海老から攻め、後は一気呵成。酒をヤリたくなるが、時間はまだ正午前。夕方からミッションを控える身には許されぬ。
鮮度が舌から伝わる。コリコリの弾力。これで2200円は安すぎないか。小鉢も手抜きなし。粗汁の旨味に魂レベルで震える。
刺身を平らげ、米だけを半分残しておいた。そこにヅケにしていたシマアジを載せ、小鉢の温泉卵も載せる。黄身を崩し、温泉卵のタレもぶっかける。シマアジ、こりっこり。黄身の濃厚を身にまとい、天女の深情けのような味わい。一気呵成に喰らいこんだ。
大満足で店を出ようとすると、入れ替わりに若い女性たちが入ってきた。老兵ならぬバカオヤジはただ去るのみ。熱い珈琲に飲むべく、店の前から信号を渡り、魚町銀天街へ向かった。
旦過市場事務所にて。K瀬会長がご説明。
市場アーケード通りをご視察。
青空市場をご視察。
いざ、昼メシ。
豪華絢爛。昼から贅沢の極み。