水を飲みながら店内を見渡す。あっという間に店外に行列ができている。ダイブが3分遅れたら、私も並ばざるおえなかった。結果として新幹線に間に合わない可能性も。新幹線の混みっぷりは凄まじく、予約便に乗れなければ席がない可能性も高かった。
ブツ降臨。一味でなく胡椒をパラリ、まずはスープ…。エッジの効きまくった札幌超進化系でもなく、20世紀味でもないその中間。王道でもあり、革新でもある。濃厚なのにあっさり。飽きのこない味である。
チャーシューの薄切り技術に簡単させられつつ、かん水の効いた札幌らしい麺を啜りこむ。この日は紺のポロシャツゆえ、紙エプロンは装着せず。
あと2口で啜り終えようとした頃、カウンターの隣に女性の一人客が座った。はっきり顔姿は分からぬが、雰囲気は30〜40代前半。物静かでスレンダー、古風な美人である。
女性はチャーハンを注文。その後、ほんのわずかの間をおいて一言「生ビール」。このグッとくるオーダーが耳に入り、思わず首を90度傾けてガン視しそうになった。
【エピソード6】「蔵まち」
12泊13日のミッションを終え、多治見から神戸に戻るだけのご褒美day。11時半頃の名古屋駅はすんごい人。駅麺通り、ただでさえ通路幅が狭く、人が多く通り、しかもスーツケースばかりで(私もだけど)、どこも行列なのでまっすぐ歩けない。
誰に頼まれたわけでもない駅麺通り7店舗制覇もいよいよ6店舗目。8人ほどの行列に並ぶ。<蔵まち>。喜多方ラーメン店である。
蔵の町といえば栃木市。それと、福島県喜多方市もらしい。聖地・喜多方で3度ほど絶品を啜ったが、この店は存じ上げなかった。
ラーメンは回転が良い。5分も待てば店内へ。私のチョイスは「肉そば」にさらに「肉増し100g」、「煮たまご」トッピング。1720円という破格になったが、12泊13日の戦いを終えた帰路。これぐらいの贅沢はお許しいただきたい。酒は我慢しているのだから。
この2日前、私は喜多方の隣町・会津若松に居た。喜多方ラーメンを啜ろうと思えば啜れたが、機会がなかった。会津(喜多方)の借りを尾張で清算する。
ブツ降臨。いかにも喜多方ラーメンらしいビジュアルである。チャーシューの形が独特。小さめだがビッシリで、味が濃い。ぜひお近くに<坂内(小法師)>があれば、ぜひ未食の方は試して頂きたい。常食系ラーメンチェーンの最高峰である。
肝心のお味。喜多方しては平均だが、濃厚ひしめく駅麺通りの中では函館系と並び、あっさり系の牙城を死守。チャーシュー倍増し、最後はさすがに白飯の助けが欲しくなる。ここで、煮玉子。プルンからの、ねちゃり。コクが溢れる。スープ1滴残さず白虎啜。〔次夜最終〕