【エピソード2】「きのかわ軒」
和歌山ラーメン。独特テイストの醤油味であり、私は実食済限定だがこれまで啜ってきたご当地ラーメンの中でも屈指に好きな味である。ただ、私の生活圏に和歌山ラーメン店が思い浮かばない。毎年通う和歌山県田辺市内の街なかでも啜れない。数年に1度啜れたら御の字。
梅雨が明け、殺人的な炎暑の正午前。月曜だが、名古屋駅構内は凄まじい人。かき分けながら驛麺通りへ直行。11時半ゆえかどの店も行列はないものの、店内はほぼ満席。私はこの日、和歌山と決めていた。迷わず<きのかわ軒>へ。いかにも和歌山なネーミングである。
6月中旬から8月下旬まで、驛麺通りの7店舗では期間限定の「冷しメニュー」フェアを開催中。しかし私は真夏でも熱々を好む。ゆえに軽く冷し系はスルー。
3種類の定番から王道の「中華そば」のトッピング全部のせ。しかも、大盛に。ランチ限定のライス系もあったが、思う存分和歌山ラーメンを啜る所存。十数年ぶりかもしれない。
隣の同年代のアンちゃんがハイボールを旨そうに飲んでいる景色に横目で嫉妬していると、ブツ降臨。さすが全部乗せ、具沢山である。麺も大盛りだが丼は普通サイズなので渋滞気味。
チャーシュー、甘辛肉、海苔、味玉、メンマ、…。胡椒をパラりし、具をかき分けてまずはスープ…。うむ。これぞ和歌山系の醤油+鶏ガラ+豚骨。もっと濃厚なスープの味を連想していた。齧っては啜り、吸っては啜る。冷たい水が甘露。
ちなみにトッピング全部乗せに大盛、1600円。もったいなくて汁1滴残せない。そもそも残す気が1oも起こらない旨さ。人気も納得である。
【エピソード3】「しゃち福」
炎暑厳しい午後。名古屋駅構内はどこも人で溢れている。喫茶店すら長打の列。驛麺通りも御多分に漏れず行列ばかり。群雄割拠の中、唯一並ばずに入れたのが<しゃち福>。「名古屋驛式」の「担々麺」がウリらしい。1秒も並びたくないので迷わず飛び込む。
名古屋の麺類といえば「あんかけスパゲティ」「きしめん」「カレーうどん」などが即座に浮かぶ。名古屋ラーメンと言えば…思い浮かばない。ただし有名店のラーメンが代表する。<味仙>の台湾ラーメン、掛け値なしのソウルフード<スガキヤ>。
私は担々麺をめったに頼まない。担々麺専門店やイチオシの店ならば当然に注文する。今回のような、何かを制覇する目標を掲げた時もダイブするが、そもそも足が向かない。
そんな私だが、栃木市巴波川沿いの至宝<長栄軒>で啜った担々麺に圧倒的衝撃を受けた。以降、それほど抵抗が無くなってきている。しかし、暑すぎる日はなかなか惹かれない。
メニューを見る。普通の醤油ラーメン、汁なし担々麵、夏季限定冷やし八丁味噌ジャージャー麺(正式名称失念)などが並ぶ。〔次夜W〕