2024年02月26日

第3365夜:半月の夕【会津若松(福島)】

 満月の夕(ゆうべ)。神戸が誇るパンクバンド「ガガガSP」様のヒット曲である。

 ガガガの皆さまには神戸新長田時代大変お世話になった。20年ほど前に発刊したが全く売れなかった我が拙著の帯に推薦文を寄せてくれたのが、ガガガのボーカル・コザックM田氏。我がバカ本に帯を書かせてすいませんでした。

 ここは本当に東北か。にわかに信じられぬ殺人光線の余熱がやまぬ会津若松・神明通り商店街の夜。商店街の皆さまは完全に酷暑のイベント疲れ。私もこの夜で12泊13日の10泊目。疲労も蓄積されている。

 順調極まりない神明通り商店街ミッション終了後、D平理事長がお疲れなのに私のメシ吞みに付き合って下さった。向かった先は理事長が統べる神明通りアーケード下の<十六夜>。テーブルが1席だけ空いていた。なかなかに繁盛している。私は初ダイブである。

 呑み助の心が分かってらっしゃるメニューに惚れる。生で乾杯。昼間にドボドボ失った水分が瞬殺で補給される。真水の数百倍以上の浸透力である。

 お通しは、小さな小鉢に揚げ出し豆腐のような物体…。目を剥いた。「かつ煮」だった。

会津地方で「カツ丼」とはソースカツ丼を指す。一般の卵とじかつ丼を「煮込みカツ丼」と区別する。その煮込みの「アタマ」だった。

 少量といえ、これほど意外性とパンチ力を兼ね備えたお通しは極めて稀。お通しの旨い居酒屋、味噌汁の旨い定食屋はハズレなしは天地創造からの理である。

 生の2杯目をお替りし、鰹刺身や蛍烏賊沖漬を堪能。大好物である会津の郷土料理「ニシン山椒漬」は残念ながら売切れていたが、満足度の高い逸品がつるべ打ち。竹輪の磯辺揚げもサクサクして初めての食感。家庭ではできないプロの技。

 驚愕のメニューがあった。唐揚である。理事長がメニュー見ながら「唐揚の半月」と注文していた。何のことか分からなかったが、量のことだった。半月は鶏の唐揚が4ヶ、三日月は2ヶ、満月なら6ヶ。

 2人で唐揚4ヶなど何の問題もない。問題は、数でなく大きさ。フライドチキンより遥かに1ヶが大きい。4ヶ分のサイズがありそうだ。

 レモンをきゅっと絞り、何もつけずそのままで…。ジューシーで柔らかい。生姜が効いている。軽く胃に消えた。圧倒的なプロの技である。これで税込660円は安すぎる。

 ハイボールの後は、地酒(末廣)の冷酒150mlをクイクイ。理事長の豪快過ぎる武勇伝や神明通りの、会津の、福島のための粉骨砕身ぶりをお聞きする。ほれぼれする。これぞ、漢である。とてもここには書けない話ばかりだけれど。

 理事長はチューハイを、私は地酒をひたすら。冷酒が3本目に差し掛かった頃、出汁巻玉子降臨。黄色が眩しすぎる。熱々出来立てを口に運ぶ。神戸人の私には嬉しすぎる甘さゼロの塩味。すかさず冷酒で追いかける。満月は十五夜だが、至福の十六夜である。

 大満足で店を出る。我が定宿は神明通り商店街に隣接している。居酒屋から歩いて3分も掛からない。空を見上げればアーケードで月は見えない。

 ホテルの入口で見上げようとしたら、猛烈な便意が襲ってきた。上など向いてしまえば下から漏れてしまう。括約筋を全集中させ、内股で自動ドアを開いた。

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愛してやまない定宿「中町フジグランドホテル」

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神明通り商店街。

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お通し(手前)最高。

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鰹刺身は鉄板。

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「半月」唐揚。

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安定の磯辺揚げ。

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頼まずにいられない。

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地酒がススム。

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部屋に戻って大浴場上がりに。

posted by machi at 07:40| Comment(0) | 福島県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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