タンメン。定義は分からぬが、ラーメンの上に野菜炒めを載せたものでなかろうか。そして、スープは淡麗あっさりな塩味が相場。チャーシューともあまりコラボしない。
あるのか知らぬが、担々麺や横浜家系スープのタンメンなどあるのか。二郎系は野菜マシマシだが、あれは恐らく味のない茹で野菜がデフォルトである。
台風6号が九州を直撃し、7号が牙をむいて北上中の酷暑厳しすぎる真夏の11時過ぎ。栃木市役所で朝ミッションを終え、そのまま徒歩5分程度の至宝<長栄軒>へ一直線。
オープン直後だが、すでに2名のオヤジが店内に。2席しかないカウンターの1席を無事確保。あっという間に満席になり、外には行列が。
12泊13日目の10日目の昼、私は注文を決めていた。「タンメン」である。
焼肉、唐揚、寿司、ラーメン、うどん、(ざる)そば、カレー、うなぎ丼、(塩)焼そば、餃子、ステーキ、ピザ、サンドイッチ(玉子・ハム)、フランクフルト、春巻、煎餅、和菓子、焼飯…。野菜といえば、ポテトフライと肉じゃがぐらいか。生鮮野菜を珍しく体が欲していた。
私は普段、タンメンを頼まない。町中華が生活圏になくあまり行かないからだが、そもそもタンメンは昭和のイメージ強く、食べようと思えばどこに行けば出会えるのか分かりにくい。
十数年前、大阪市内でタンメン専門店がオープンしていた。しばらくして通りがかったら一瞬で滅失していた。
私はラーメン屋ではほぼチャーシューメン一択。たまにネギを追加。塩よりも醤油、豚骨醤油、煮干を好むため、塩味のタンメンは選択肢にない。野菜喰うなら野菜炒め定食で充分。
栃木が誇る街中華の至宝<長栄軒>には、当然のごとくタンメンがある。この店、1年間で6,7回通った。麺類では担々麺が人気。私も知人に勧められ初回に熊啜。タンメン以上に担々麺に縁遠いが、驚愕の旨さだった。
タンメンを啜りたくなるのは、どちらかと言えば風邪気味など体調に不安を抱える時。この日、野菜不足を体が自覚していた。
TVで台風ニュースを見ていると、ブツ降臨。これぞ、正しいタンメンのビジュアルである。人参の朱が生えている。キャベツ、ニラ、ブタコマも嬉しい。
胡椒をパラリ、まずはスープ…。大地に抱きしめられた。龍が絡みついた。野菜の旨味と炒めた脂が塩味のスープに沁み込んでいいる。
野菜をハフハフ食らいつく。絶妙の味付け。これだけでライスが喰えそう。毛細血管まで生鮮野菜の流入を喜んでいる。手足の末端まで栄養がいきわたる。
麺もつるつると天晴。夕顔麺らしいが、すっかり私は虜。汗が噴き出す。箸が止まらない。スープ一滴残せない、残さない。これぞ、シン・タンメンである。
大満足で店を出る。凄まじい殺人光線が降り注ぐも、基礎免疫がベホマズンした私には通用しない。ただのアヅマでなく、シン・アヅマ状態。
野菜炒め定食とタンメンの違いは、ライスが麺であることか。私、これからはタンメンとも寄り添っていく。ニラレバ炒めとも。
暖簾が出ているのに行列がないという奇跡。
長期出張中のベホマズン。