「とちぎ秋まつり〜よみがえる江戸の粋〜」。明治7年を起源とする栃木市最大最強の祭りである。会場は蔵の街大通り。今年度(令和4年)はコロナ禍で4年ぶりに開催されたそうな。
11月11日から3日間。初日はこども祭り。12日・13日が圧巻の人形山車運行。12日の13時過ぎ、栃木駅に降り立つ。駅からどんどん会場へ向かう。この道は何度も歩いたが、これほど人が歩いているのは初めてだ。
会場が近づいてきた。汗ばむ陽気である。Tシャツ姿も多い。私は会津から直行したので厚着。汗が止まらない。会場の熱気も気温上昇に一役買っているのだろう。
大通りは歩行者天国に。警察が全力で交通規制誘導している。通りには見事な装飾の人形山車が並んでいる。街なかを長年牽引してこられたと思しきご老人からこれからの栃木を背負って立つ子供たちまで、それぞれが着物というか衣装に身を包んでいる。
秋まつりのメインは人形山車の運行。チラシでは14の人形が紹介されていた。町内ごとに違うようだ…。なかなか不思議なラインナップだった。統一感があるようで私には見つけられない。
・神様:天照大神、素戔嗚尊
・天皇:神武天皇、仁徳天皇
・源平:弁慶、静御前
・昔話:日本武尊、桃太郎
・中国:劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳
・動物:雄獅子、雌獅子、諫鼓鶏
『終末のワルキューレ』的世界観が漂っている。個人的に気になったのが「諫鼓鶏(かんこどり)」。街なかや商店街に絶対飛来してはいけない「閑古鳥(かんこどり)」とは別種なのか。
山車会館がメイン会場らしい。蔵の街大通り全体に司会や主催者、来賓の声が響き渡る。山車が動き始めるまで30分ぐらい挨拶が続いたのではないか。
人形山車が動き出した。ゆったりとしたペースである。笛や太鼓の祭囃子が耳に心地よい。ケンカ祭りではないようだ。山車がすれ違う場面が見せ場の一つなのかもしれない。
沿道にはテキ屋や既存商店の店頭売りがズラリ。この日は会津若松から栃木入りした。朝昼何も喰っておらず空腹を極めた。
何を食べようか…。祭り縁日に「焼きそば」は欠かせない魅力の一つ。栃木市は「ジャガイモ入り焼きそば」が名物。ちょうど目の前に栃木グランドホテルの屋台ブースが。焼きそば400円は祭り価格として安い。生ビールが500円。栃木県内としては店より安い感覚だ。
生ビールが飛ぶように売れている。この日は暑かった。私もよく歩き汗ダクだったが、仕事を控える身。涙をこらえ、カバンからペットボトルの水を取り出す。ソースが焼ける香ばしさに抗えず、啜り込んだ。
コロナ以降、日本各地でイベントや祭りが慎重を期して再開され始めた。万全のコロナ対策なとちぎ秋まつりも4年ぶりとあった。焼そばを味わいながら、これぞウィズコロナ時代の伝統行事の在り方を見た気がした。
すれ違う迫力。
栃木市名物じゃがいも入り焼きそば。