両毛線で佐野駅着。ミッション開始は1時間後。早速駅周辺のラーメン店を探訪。数店舗発見‥‥‥。しかし、定休日か何か分からぬが、どこも閉まっている。
時間は昼の12時半。昼のカキイレ時ではないか。20分以上歩いたが、見つけて駆け寄ると閉まっているの繰り返し。朝から降り続く雨は止んだが、私の心は涙雨のまま。
途中、蕎麦屋さんとかオシャレなCaféは何軒か営業していたが、私の舌、咽、胃は佐野ラーメン一択。前夜から楽しみにしていただけに、絶望から這い上がれない。
唯一の救いは、これから3年間、佐野へ多ければ50回ぐらい足を運ぶことになる。車があれば圧倒的にラーメンの道は開けるが、私には足がない。悔しいが、出直すか。
時間も無くなってきた。早めに会場入りするか。
市役所(会場)まで30秒ほどの地点に差し掛かった時、道路から少し奥まった店が視界に。営業中である。屋号は<かまだや>。ショルダーネームがないから何屋か全く分からない。店頭にメニューもない。
何かが私の琴線を撫でた。近づいてみる。ガラス戸の向こうに、常連とおぼしきオヤジが何かを啜っているのが見えた。もしかして、ラーメンか?
ふと気づけば、ドアを開けていた。どこでも空いているお席にどうぞ〜と声を掛けられる。
着座し、メニューを開く。いきなり「麺類」ページが。一番目立つ場所に「佐野らーめん」。
小声とはいえ「ヨシッ」と呻きが漏れた。その横には「チャーシューめん」が。
迷わずチャーシューメンを注文。すると、店員さんが「ランチ限定のドリンクサービス、どれになさいますか?」。コーラやウーロン茶など数種類の中からアイスコーヒーを注文。嬉しいサービスである。
ほくそえんでいたらさらに畳みかけるように「ランチの麺類の無料サービス、どれになさいますか?」。
餃子3ヶ、唐揚2ヶ、ミニまかない丼、小ライス、ミニチャーシュー丼、ミニカレーから「ランチのみ、お好きなものをいずれか無料でサービスしています」との神言。
佐野は餃子も旨い。ミニまかない丼が気になるところだが、ここは餃子。佐野の餃子は大きいので、3ヶもあれば十分である。
餃子を選択すると、さらに店員さんは「もう一品どうですか?小ライスもお付けしますか?」。
あまりの展開に頭が真っ白に。どこまでサービスなのか。思わず「ライス、お願いします」。
アイスコーヒーが最初に運ばれてきた。メニューをじっくり読む。
ラーメンだけでも味噌、塩があり、冷やし中華もあればうどん(肉汁)もある。
ページをめくると、海鮮丼、豚丼、カツ丼、カツカレー、唐揚カレー、チャーハン、そしてにぎり(8貫)まである。定食類も唐揚、とんかつ、ステーキ。一品料理も刺身やポテトフライも。
アルコールもたっぷり。おまけに、爆弾盛りチャレンジメニュー(完食したら無料と次回お食事券。残したら3000円支払い)。
居酒屋というか、食堂というか。この店が1軒あるだけで、365日困ることはなさそうだ。〜屋、という分類不能は力強さである。
餃子を焼くのに8分かかるという。店を出れば、1分以内でたどり着ける。間に合うだろう。心の余裕が笑みに繋がる。
ブツ降臨。息を呑む。あまりにも美しく、官能的である。今年であった中で最高の美女である。思い描く佐野ラーメンそのもの。焼豚で麺が見えないシアワセ。餃子の焼き色もビールのキャンペーンガールのようである。
小皿に醤油とラー油を入れ、丼に胡椒をパラリ。まずはスープ……。
迷ってよかった。この店にたどり着けたのだから。試練は、天国への階段だった。登り切った先には楽園が広がっていた。
麺は青竹打ちの平ちぢれ麺。スープとのカラミも最高。焼豚は柔らかく、バラでなく脂身がないのでこれも完全に私好み。
餃子は皮がパリッ、中はジューシー。ライスで頬張り、餃子を齧り、スープで追いかける。漬物も素晴らしいアクセントである。
汁1滴残さず啜り切った。アイスコーヒーを飲み干す。接客も素晴らしかった。
この後の佐野ミッションも極めて順調だった。フックが掛かった。ビジョンが見えた。次回の佐野訪問日を決める際、私が1点拘ったことがあった。「月曜は外すこと」。
何故なら、その90分前に満喫した天国のごときお店の定休日が月曜だったからである。

最初、何屋か分からず。

佐野ラーメンの文字が眩しい。

嬉しく心強いサービス。

ご飯もの、充実。

定食も充実。

え?海鮮系もあるの?

もはや居酒屋。もしかして、居酒屋?

壮絶な世界観。

天国の風景。チャーシューメンを頼んだら、ライス、餃子、アイスコーヒーがお供に。