ある水無月の夕方。嬉しいことがあり、自宅で独りでお祝いを兼ねて、缶ビール。愛してやまないKリン一番搾り岩手県遠野市産ホップ使用2021である。これを買い込んでいる。
大手メーカーが作る地ビールといってよいか。コロナ以降、岩手県宮古市と御縁が滅失。この「生」が呑める<のり平>へ足が運べなくなったことも痛恨の極みである。
晩酌のお供は録画しておいた『孤独のグルメ 9』。第8話は郡山だった。主人公(G郎氏)は都内か関東近郊に出向くが、私が頻繁に足を運ぶ街へはあまり行ってくれない。
ところが2021年大晦日特番では、まさかの浜松舘山寺温泉。五郎氏が立ち寄った鰻屋、私は未踏だったものの、毎回通った鰻屋(商店会会長のお店)を含め懐かしい景色に笑みが漏れた。
これまで郡山でのミッション経験は皆無だが、この数年間、月1、2回は「乗換」で利用している。駅前のどこかでG郎氏が飯を喰ってもらえれば、ついでにそこを訪ねることは容易。
期待に胸を膨らませていると、氏が向かった先は知らない駅のとてもイチゲンで入れそうにない激シブのドライブイン。恐らく行くことはないだろう。焼肉定食、壮絶に旨そうだったけど。
秒殺でKリンが無くなり、冷蔵庫へ。地ビールが2本視界に。3年間通った栃木県小山市ミッションにて、最終日にお土産に頂いた小山の地ビール2種類。よく見ると「発泡酒」だった。
地ビール(クラフトビール)ならぬ地発泡酒は初めて。製造所は808ブルワリー。勉強不足で耳にしたことなかったが、製造者はSunフーズ。この会社の社長は小山のライフライン「まちの駅 思季彩館」で幾度となくお会いした。3年間ありがとうございました。
第8話が終わり、引き続き第9話へ。栃木県宇都宮市が舞台。G郎氏、郡山から宇都宮へ出張移動という設定だった。私も同じルートは数え切れぬほど体験した。
宇都宮市内でのミッションは数えるほどもないが、3年間、月6回ペースで足を運んだ栃木県ミッション(鹿沼・小山・日光)の拠点として幾度となく泊まり、呑んだ。
見慣れた宇都宮の風景をTVで眺めつつ、まずはハードなデザインの「FLATBUSH」という小山発泡酒から。意味は全く分からないが、パンクな雰囲気がある。
グラスに注がず、そのままグビビ。地ビール特有のフルーティさの中の潜む苦みが独特である。口当たりは良いのに、ガツンと尾を引くタフな味わい。どことなく発泡酒の風味も漂っている。
主人公は県庁近くの全く私が知らない居酒屋に飛び込んだ。逆L字カウンターの薄暗い激シブ店。これまたイチゲンにハードル高し。郡山といい宇都宮といい、マニアックである。
もう1本の発泡酒をカシュッ。『Table Saison-808』。こちらはシンプルなデザイン。そもそも発泡酒(ビール)に見えない。タイトルも意味もますます奥深く、摩訶不思議である。
グビビ…。カクテルかと思った。シャープで切れ味抜群。いくらでも飽きずに飲めそうである。
地発泡酒を含めたクラフトビールの革命ではないか。目をつむって呑んでも、この2本の違いは我がバカ舌でも判別可能。柑橘系がパワフルで未体験ゾーンである。
井之頭氏はハムカツを頬張っている。氏も心の中でつぶやかれているが、ハムカツは薄いほどジャンク感が増して旨い。
私がガキの頃、近所に肉屋で揚げてもらい、1本30円程度だった記憶がある。その場でたっぷりソースをかけてもらい、熱々を頬張る。今ならビールかハイボールかチューハイが欲しいところ。当時は頬張った後、何で流し込んでいたのだろうか。
この店で主人公は「ちたけそうめん」でシメた。私も日光市内の蕎麦屋(一歩庵)で名物という「ちたけそば」を啜ったことがある。
ちたけとは、茸の一種。共通点が持てて妙に嬉しくなった。店内の常連客(という設定)は皆さんハードな栃木弁。しかし、宇都宮市内であまり栃木弁を耳にしない。小山市内でもまず耳にしない。鹿沼市内では濃厚に耳にした。
酒が呑めない主人公のお会計は3650円。呑まずによくそれだけ支払えるなと感心するが、孤独のグルメ、最近はお会計時に金額を言うような演出になったのか。前話の郡山編もそうだった。
ちなみにこの店は県庁近く。県庁へは何度も通ったが、全く位置感が掴めない。県庁か地銀の若手を誘って突撃せねばならない。
G郎氏は帰路に就いた。小山の地発泡酒2本もいつの間にか空になった。鹿沼の盟友・M越氏から頂いたラフロイグをストレートでチビチビ。
五郎さん、ぜひ鹿沼シウマイを食べに鹿沼入りしてくれぬか。その際は、ぜひ我が『串カツJu-So』へ。私もエキストラとしてカウンターに居座りたいものである。
