2021年05月05日

第2679夜:うなぎの塩焼、居酒屋で【田町(東京)】

 白焼き。酒呑系鰻愛好者にとって、うなぎの白焼きは蒲焼以上に外せない極上の逸品である。

 山葵を白焼きにチョンと載せ、刺身のようの醤油を付けて口に運ぶ。パリッとした皮の食感と、モチモチした鰻の濃厚な淡泊さが醤油に旨みに絡まりながら押し寄せてくる。山葵も抜群のアクセントとして渋く脇を固めている。

 白焼きは、タレが嬉しい蒲焼以外では最も旨いうなぎの食べ方だと思っていたが、私の固定観念を覆す食べ方を発見した。白焼きではなく、「塩焼き」である。

 東京・田町駅北側すぐの幹線道路沿いに<宮川>という居酒屋がある。私は東京滞在中は田町を拠点にしているので、何回か訪れたことがある。うなぎメニューの充実した居酒屋だ。

 うなぎは一年中食べても旨く感じる私だが、やはり暑くなると一層旨さが引き立つ気がする。暖簾をくぐり、豊富な定番居酒屋メニューに心引かれるが、今夜はうなぎシバリだ。

 ホッピーの黒をグビグビやりながら、「うざく」「う巻き」といった定番を注文。うざくのさっぱり感は夏に嬉しい。キュウリと酢が季節を感じさせる。

 う巻きはすごいボリューム。たっぷりとしたサイズで5切れもある。まずは何もつけずにそのままで。甘味のある出汁巻だ。関西人の私は甘い玉子は得意ではないが、うなぎを巻いた出汁巻きなのでそれもアリである。醤油をかけた大根おろしをたっぷり載せて頬張る。かなり腹が膨れてきた。

 シメはうな重がうな丼にしようか。うな丼なら1000円ちょっと。しかし、御飯が重たい。蒲焼か白焼にしようかと迷うが、どちらも1尾2000円以上。食べきれるかどうか不安だ。

 この店が嬉しいのは、一尾まるまるではなく、カットしたうなぎを串焼きで出してくれること。1本300円程度で、蒲焼やうなぎ肝焼が楽しめるのだ。

 蒲焼串を1本、肝焼串を1本、そして白焼串を1本。と思ったが、よく見ると「白焼き」ではなく「塩焼き」と書かれている。今まで気づかなかった。蒲焼、肝焼、そして「塩焼」も3本を注文した。酒はホッピーから熱燗に切り替えた。

 のんびり雑誌を読み、熱燗の杯を重ねていると、香ばしい匂いとともに3本とも運ばれてきた。蒲焼、肝焼は体験済だが、塩焼は初めて。

 塩焼きを口に運んだ。……。言葉を失った。呻き声すら上げることができなかった。思考が止まった。とんでもない旨さだ。この旨さを表現する単語や形容詞は、1万年後も現れないだろう。うなぎって、こんなに奥が深かったのか。

 この塩焼き、串料理でないと表現できないのかもしれない。蒲焼、白焼以外に、塩焼という至福の選択肢が私に追加された。うなぎの塩焼探訪が始まりそうだ。

210505酒のほそ道@.jpg

210505酒のほそ道A.jpg
これを書いたのが古すぎて画像見つけられず、『酒のほそ道』48巻より写真を撮って無断転載

(付記)
恐らく2010年ごろの訪問記。2020年12月、大宮で鰻串焼コースに感動し、興奮冷めやらぬうちに書きダメしている際にこの死蔵ストック発見。1oも記憶なし。画像もなし。当時は田町を拠点にしていたことが何となく懐かしく感じた程度である。この店がまだあるなら、ぜひ再訪したくなりました。
posted by machi at 05:02| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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