ヴィーナスと聞くだけで美の極致かつ神聖で厳かな気分にさせられる。この気分にあまり邪念はない。ところが、ヴィーナスがスナックやラウンジの屋号になれば、一気に場末感が漂う不思議な裏返りがある。
緊急事態宣言が解除されてから約1ヶ月後。約4か月ぶりに会津若松へ向かった。郡山発の列車、観光客不在ゆえか普段より空いている。車窓の緑が美しい。
途中「ゲレンデ逆走マラソン発祥の地『猪苗代』」がという看板が視界に。想像するだけで過酷かつマヌケ。笑みが漏れる。
ミッション先である神明通り商店街は7月から「酔市」というステージも含めたイベントを再開。7月上旬のステージイベントなど、会津地方どころか全国初の再開ではないか。
神明通りは空き店舗も増減を繰り返しながらも出店希望も多数。観光地である会津若松はかなり厳しい環境だが、地元密着型だった神明通りは体幹の強さを感じさせる。
終了後、理事長が経営する世界一入り難いコミュニティカフェ<ハジャイ>へ。西日本で一番この店に通っているという自負がある。
鰹の刺身が最高に旨い。料理も絶品で食べきれぬほどの分量。ちなみに理事長のお店は会津地方で最も刺身が旨いエスニック料理店らしい。
この店では黒生ビールが冷え冷えで最高。あまり会津地方で黒生を呑める店がないという。日本酒もデキャンタで激しく鯨飲。気づけば23時半を回っている。
マニアックな路地を通りながら、2軒目は市役所の若手ホープU氏と2人呑みに。私は満腹かつ本格的な日本酒バーよりも、場末感溢れるスナックをリクエスト。氏はマニアックだが趣があり鑑賞ポイントの多い路地を突き進んでいく。
割と立派なスナックビルに辿りつく。電飾看板には味わい深い屋号が並ぶ。氏が向かった先は<ヴィーナス>。場末マニアの私の心が刷毛で撫でられた気分になる。
ビルや店舗入り口はそれほど場末感は感じない。ドアを開けた瞬間、私と同世代っぽい美人ママが醸し出すなんとも言えない気だるさがタマらない。
客は我ら2人のみ。ママは店を閉めようとしていた様子だが、妙にテンション高い。何故か柳津町の話で盛り上がる。
ママが手作りなのかどうか分からぬ漬物を出してくる。手作り漬物も地方都市のスナックの味わいというか、定番である。居心地の良い場末感が気に入ったので焼酎のボトルを入れる。
談笑していると、ホタテ味ではなく馬刺し味のポテトチップスと馬刺し味のうまい棒が登場。どちらも本家非公認な雰囲気。このあたりの香ばしさも味わい深い。
齧りつく。……。どのあたりが馬刺し味なのか全く分からなかったが、味付けは濃厚。会津若松の場末ヴィーナスに私は酩酊した。

オモシロそうだがタイヘンそう。

すごいぜ神明通り。

鰹刺身。旨すぎ。

大好きです。

地酒鯨飲。

今年もよろしくお願いいたします。

地方スナックの年輩ママ定番のお通しは「漬物」。どこも旨し。

会津地方は馬刺が名産。