2020年10月04日

第2535夜:Wの喜劇【黒崎(北九州)】(前編)

 『Wの悲劇』。Y師丸ひろ子主演のサスペンス映画(たぶん)である。私は原作も映画も未鑑賞だが、インパクトの強いタイトルだけは知っている。そういう方は多いのではないだろうか。

 緊急事態宣言が開けた6月中旬。4か月ぶりに北九州市の副都心・黒崎入りを果たした。ミッション先の黒崎駅前新天街改め表参道新天街はこの4カ月の間にさらに新店舗がオープン。すぐ近くには巨大なマンションが建設中。他にも分譲計画が進んでいるらしい。

 コロナを吹き飛ばす令和な勢いに圧倒されながら、昭和テイスト溢れる老舗食堂<博多屋>へ直行。外観変わらぬ店内の内装が一新。遅めの午後だがお客は入れ代わり立ち代わりひっきりなしに訪れる。老舗の底力を感じさせる。

 この店は何十年と通い続けている常連たちが奏でる細かいオーダーに応え続けている。時には新メニューが生まれることもあるだろう。このような振る舞いは何年も、何十年も、何十回も、何百回も通い続けている常連のみが許される暴挙であり、羨望である。

 組み合わせると星の数より無限大なメニュー群から、以前から注文したいメニューがあった。かつ丼である。ただし「ダブル」である。ちなみに、私は<博多屋>2回目である。1回目に注文したのが「かつ丼」。ただし、ノーマルタイプだった。

 一瞬、通じなかったようだ。厨房のⅯ山氏にカツ2枚と申し渡す。氏はニヤリとした。氏のご親族熟女たちは何が起きたか分からず少しざわついている。

 備え付けの新聞に目を通していると、吸物、漬物を従えて王が降臨。圧巻である。ずしり重い。ちなみのこの日の一食目。一味をパラリし、まずは吸物を口にして心を落ち着かせる。

 かぶりつく。……。揚げたてサクサク衣の中は美しい肌のむっちりした柔らかい秘肉。出汁の効いたフワトロ卵が絡みつき絶頂に達す。玉葱も見事な枠役ぶり。カツを食べても食べても減らない至福。ご飯部分よりカツ領域が広大。白飯、玉子、カツの三国志。カツ国の優勢は揺るがぬ。

 漬物がまたしっかりと浸かって旨い。醤油を垂らし、白飯とコレだけでワシワシ行きたくなる。

 圧倒的なボリュームだったが、あっという間に滅失。手品のようである。しかし、タネはごくシンプル。圧倒的に旨すぎることが、この消失マジックのタネである。

 かつ丼ダブル滅失から半月後。7月というのに小雨ぱらつく肌寒い午後。黒崎着後、そのまま<博多屋>へ直行。14時半なのにほぼ満席である。

 当初はカツカレーにしようと思ったが異様に肌寒かったので肉うどんに浮気。しかも、肉をダブル。2倍である。Ⅿ山氏は苦笑しながら「できますよ」と心強い一言。

 店内備え付けの『ビッグコミック』を読んでいると、着丼。野性と洗練が同棲している。

 一味か七味か忘れたがパラリして、まずは出汁。……。濃厚である。肉の旨味が溶け込んでいる。この汁だけでビールや酒が飲めそうだ。うどんは九州独特の蕩けるような食感。肉と出汁とのカラミも抜群。玉葱も見事なアクセント。

 さすが肉ダブル、うどんと同じぐらい入っている感じである。気づけば麺1本、汁1滴、肉1片残さず滅失。

 次回は生卵を落として肉やうどんにカラめるか。または、二日酔いの昼は肉うどん肉ダブルのうどん抜き。いわゆる「肉吸」にしてみようか。しかし肉吸は迎え酒を誘発すること確実である。博多屋さんがアルコールを取り扱わない理由が少しだけ理解できた気がする。〔次夜後編〕

201004博多屋@.jpg
老舗の風格。

201004博多屋A.jpg
かつ丼のかつダブル。

201004博多屋B.jpg
肉うどんの肉ダブル。
posted by machi at 09:59| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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